研究課題/領域番号 |
20K20616
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中村 昇太 大阪大学, 微生物病研究所, 特任准教授(常勤) (90432434)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
キーワード | 感染症 / 病原体検出 / 次世代シークエンス / 医療システム / クラウドコンピューティング |
研究実績の概要 |
2020年度では、オンプレミスの計算ノード群への解析システムの基盤構築および、リアルタイムな次世代シークエンスが可能なMinIONの連携研究先への導入を実施した。構築した解析システム基盤は立案時に計画していたとおり、MinIONデバイスに直接接続されるエッジレイヤー、データの解析処理を実際に担当するフォグレイヤー、外部からの解析結果閲覧やデータ保持等を担当するクラウドレイヤーからなる3つのレイヤーに分けて構築することができた。エッジレイヤーのシステムとして、シークエンス時にリアルタイムに生成されるfast5形式の生データを検出し、ラン毎の固有情報を付与したうえで、大阪大学に設置したフォグレイヤーに属する計算ノードにアップロードするシステムを構築した。またフォグレイヤーのシステムとして、アップロードされたfast5データに対してguppyによるベースコール処理を行いfastq形式の配列データに変換するとともにこれまで我々が開発してきた同定ソフトウェアであるmlstverseによる菌種同定を行うシステムを構築した。最後のクラウドレイヤーとして、同じく大阪大学に設置した外部公開サーバ上に、shinyをベースとした解析結果の可視化ウェブサイトを試験的に構築した。システム構築においては各レイヤーが自身の入力となるファイルを検出し動作させるためのフックとして、Linuxのカーネルサブシステムであるinotifyを利用することで、レイヤー同士の応答を待たずに柔軟に動作可能な解析基盤を構築することができた。2021年度は上記解析基盤を利用し、メタゲノムに対するタイピング用アプリケーションの開発を行うとともに、核酸抽出手法やライブラリ調製方法の最適化について検討を行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度では、インターネットを介した解析システムの基盤構築および、リアルタイムな次世代シークエンスが可能なMinIONの連携研究先への導入を実施した。解析システム基盤については当初の予定通り、3つのレイヤーから構成されており、MinIONに直接接続された計算ノードおよび大阪大学内のオンプレミスの計算ノード群にそれぞれ導入した。
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度に構築した解析システム基盤上にメタゲノムシークエンスに対するタイピング用アプリケーションを開発するとともに、外部の商用クラウドとの併用による解析基盤の拡張可能性について検討を行う。またメタゲノムシークエンスのための核酸抽出手法やライブラリ調製方法の最適化について検討を行う。
|