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2022 年度 実施状況報告書

病原微生物のその場メタゲノミックタイピング手法の研究開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K20616
研究機関大阪大学

研究代表者

中村 昇太  大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (90432434)

研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2024-03-31
キーワード感染症 / 病原体検出 / 次世代シークエンス / 医療システム / クラウドコンピューティング
研究実績の概要

2022年度は昨年度までに構築したクラウド解析基盤上のアップデートを実施した。構築したクラウド解析基盤の構成は、MinIONデバイスに直接接続されるエッジレイヤー、データの解析処理を実際に担当するフォグレイヤー、外部からの解析結果閲覧やデータ保持等を担当するクラウドレイヤーからなる3つのレイヤーから成っており、これまでと大きな変更はないものの、これまで単一のノードで構成していたクラウドレイヤーを3つのノードに分割し、応答速度と安定性、セキュリティの向上を行った。解析結果閲覧ウェブサービスについても完全に新規に開発を行い、処理速度の向上を行った。また、これまで物理マシン上で稼働していたこれらのサービスを仮想マシンへ移行し、システムの冗長性を向上させた。またこれまでNTMに限られていたデータベースに加え、2種類のデータベースを構築した。一つは一般的な細菌全般に適用可能なpubMLSTを元としたMLSTデータベースであり、もう一つは市中感染でたびたび問題となるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin-resistant Staphylococcus aureus; MRSA)を対象とした同定データベースである。またMRSAについては市中感染の経路追跡を可能とするために、POT法、SCCmecタイピングによるタイピング手法およびコアゲノム、移動性遺伝因子にもとづく系統関係の推定手法の開発を行った。これらのデータベースを利用しつつ、培養検体12検体に対するリアルタイム解析を実施した。全ゲノム情報から作成した系統関係と比較を行ったところ、全ゲノムによる系統関係は検体が取得された空間的・時間距離をもっとも反映してており、コアゲノムによる方法と強く一致していた。タイピング結果および移動性遺伝因子に基づく系統関係については、患者間の接触を併せて評価する必要があるため、今後患者情報と併せて検体数を増やし解析を進めてゆく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2022年度はこれまでに構築してきた基盤システムの更新と、実際の臨床由来の検体を用いた解析の実施を行った。使用する解析の種類によって得られる系統関係が異なることから、臨床情報を加えたうえでどの手法がより時間的・空間的距離を反映しているのかを評価する。

今後の研究の推進方策

2022年度までに構築した解析システム基盤上の機能拡張を進め、現在構築している非結核性抗酸菌に加え、他菌種のゲノム配列からデータベースを構築することで、網羅的な細菌同定を実現する。また臨床検体等からの菌種同定を試み、解析システム基盤の評価を行ってゆく。

次年度使用額が生じた理由

コロナの影響で出張に行けず、研究が遅延している。R5年度にタイにこちらの経費で行く予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] MGIT-seq for the Identification of Nontuberculous Mycobacteria and Drug Resistance: a Prospective Study2023

    • 著者名/発表者名
      Fukushima Kiyoharu,Matsumoto Yuki,Matsuki Takanori,Saito Haruko,Motooka Daisuke,Komukai Sho,Fukui Eriko,Yamuchi June,Nitta Tadayoshi,Niitsu Takayuki,Abe Yuko,Nabeshima Hiroshi,Nagahama Yasuharu,Nii Takuro,Tsujino Kazuyuki,Miki Keisuke,Kitada Seigo,Kumanogoh Atsushi,Akira Shizuo,Nakamura Shota,Kida Hiroshi
    • 雑誌名

      Journal of Clinical Microbiology

      巻: 61 ページ: -

    • DOI

      10.1128/jcm.01626-22

  • [雑誌論文] Rapid and Comprehensive Identification of Nontuberculous Mycobacteria2023

    • 著者名/発表者名
      Matsumoto Yuki、Nakamura Shota
    • 雑誌名

      Methods Mol Biol

      巻: 無し ページ: 247~255

    • DOI

      10.1007/978-1-0716-2996-3_17

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Chronic Pulmonary Disease Caused by <i>Tsukamurella toyonakaense</i>2022

    • 著者名/発表者名
      Kuge Tomoki、Fukushima Kiyoharu、Matsumoto Yuki、Saito Haruko、Abe Yuko、Akiba Eri、Haduki Kako、Nitta Tadayoshi、Kawano Akira、Tanaka Michio、Hattori Yumi、Kawasaki Takahiro、Matsuki Takanori、Shiroyama Takayuki、Motooka Daisuke、Tsujino Kazuyuki、Miki Keisuke、Mori Masahide、Kitada Seigo、Nakamura Shota、etc
    • 雑誌名

      Emerging Infectious Diseases

      巻: 28 ページ: 1437~1441

    • DOI

      10.3201/eid2807.212320

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Mycobacterium senriense sp. nov., a slowly growing, non-scotochromogenic species, isolated from sputum of an elderly man2022

    • 著者名/発表者名
      Abe Yuko、Fukushima Kiyoharu、Matsumoto Yuki、Niitsu Takayuki、Nabeshima Hiroshi、Nagahama Yasuharu、Akiba Eri、Haduki Kako、Saito Haruko、Nitta Tadayoshi、Kawano Akira、Tanaka Michio、Matsuki Takanori、Motooka Daisuke、Tsujino Kazuyuki、Miki Keisuke、Nakamura Shota、Iida Tetsuya、Kida Hiroshi
    • 雑誌名

      International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology

      巻: 72 ページ: 005378

    • DOI

      10.1099/ijsem.0.005378

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 非結核性抗酸菌の迅速その場同定2022

    • 著者名/発表者名
      中村昇太
    • 学会等名
      第6回抗酸菌研究会
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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