研究課題
最終年度である本年度は、異部位触覚提示の要素技術を高品位化するとともに、長期の使用を視野に入れた評価実験を行った。空気圧吸引を用いた触覚提示手法に関しては、VR環境内での指先作業中に顔面に触覚提示されるという状況における身体所有感とVR体験の質全般を評価し、指先に直接触覚提示する場合と比肩する効果が得られることを明らかにした。また空気圧吸引を用いる場合、圧覚の提示は容易に行えるものの振動感覚の提示が難しく、また分布的な提示も難しいという課題があった。この課題を、電気触覚提示と組み合わせることにより解決を図った。その結果、例えば把持作業を指先で行う際に生じる微小滑り等を電気刺激で表現しつつ、空気圧による圧覚によって把持力そのものを提示するという組み合わせが有効であることを確認した。また最終年度は空気圧吸引とは異なる手法で額への安定的な触覚提示を行う手法も新たに開発した。これは従来から知られたAM変調による手法であり、搬送波として直動共振アクチュエータの共振周波数である200Hzの正弦波を用い、原信号として数Hzの信号を用いる。この時額には高周波を知覚する受容器が存在しないことから原信号の低い振動が明瞭に感じられる。このことを指先への触覚提示等との対比によって示した。直動共振アクチュエータは現在入手可能な非常に小型の触覚提示素子であるため、今後の展開が容易になると考えられる。さらに最終年度はこれまでとは異なる視点から異部位触覚提示を行う手法として、スマートフォンの側面部分に電気刺激を行う手法を提案、実装した。把持している手はスマートフォン側面に常に触れているため、触覚提示のターゲットとして優れている。これにより例えば画面中のキャラクタとのインタラクションが可能となった。
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日本バーチャルリアリティ学会論文誌
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