研究課題/領域番号 |
20K20637
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
渡部 徹 山形大学, 農学部, 教授 (10302192)
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研究分担者 |
三浦 尚之 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (70770014)
西山 正晃 山形大学, 農学部, 准教授 (10802928)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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キーワード | 牡蠣 / ノロウイルス / 糖鎖 / 遺伝子マーカー / 安心・安全な養殖 |
研究実績の概要 |
前年度,牡蠣をノロウイルスGII.2によって人為的に汚染する実験を3回繰り返しで実施した。各実験回で得られた牡蠣サンプル15個のうち,ウイルス濃度が高い群および低い群の牡蠣をそれぞれ6個ずつ選択し,それらの中腸線を対象にレクチンアレイを用いた糖鎖解析を行った。その結果,3回の実験で共通して,2つの牡蠣個体群で蛍光強度に有意差のあるレクチンはなかった。しかし,3回の実験のそれぞれでは,有意差のあるレクチンは存在したため,それらが関係する糖鎖がノロウイルスとの結合に関与している可能性がある。すなわち,一貫性はなかったものの,解析で用いた95 種類のレクチンの中から10 数個まで,重要な糖鎖と関わるレクチンの候補を絞り込むことができた。なお,3回の実験で共通して,蛍光強度に有意差のあるレクチンが無かった理由には,①今回対象としたレクチンに結合する糖鎖が,ウイルス蓄積に関わる糖鎖ではなかったことの他に,②ウイルスの添加濃度が高いため,強く糖鎖に結合していないウイルスも蓄積し,短い浄化期間ではそれらを除去できていなかった可能性もある。 そこで,添加するウイルス濃度と浄化期間(最大7日間)を変化させることで,牡蠣のウイルス蓄積特性がどのように変化するのかを評価した。まず,浄化期間中の給餌の有無はノロウイルスGII.2の蓄積や浄化に影響を与えなかった。また,牡蠣は,海水中のウイルス濃度が高いほどウイルスを蓄積しやすいものの,その濃度が10,000 genome copies/Lであればほとんど蓄積しなかった。最後に,7日間の浄化処理によってノロウイルスGIIの陽性率が、全系列で汚染前と同程度まで低下したものの,全ての個体からウイルスを完全に除去することはできなかった。7日間の浄化処理後もウイルスを蓄積していた牡蠣個体を対象に,次年度,上述のレクチンアレイを用いた糖鎖解析を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス流行の影響と研究支援者雇用の遅れを原因とする前年度までの遅れが続いている。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間をさらに1年延長して,当初予定していた研究を完了する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述の通り,全体的に研究進捗がやや遅れているため。研究期間を1年延長して,次年度の研究に支出する。
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