近年開発された液体クロマトグラフ/安定同位体比質量分析計(LC/IRMS)は水溶性成分の炭素安定同位体比の高精度分析を可能にした。その結果,様々な食品偽装を見分ける応用研究等が現在,海外では報告され始めている。しかし,装置の制約として,対象物質は水溶性成分に限られることや,炭素安定同位体のみを対象としていることなど,未だに多くの課題がある。本研究では,LC/IRMSの用途拡大を目的として,溶離液に有機溶媒を使用することで疎水性成分を対象にし,また様々な元素の安定同位体比を対象にする等,画期的な装置開発を目指す。 令和5年度は,1次元目のカラムにて分離可能な物質の探索を行った。物質としては,水溶性ビタミン類(L-(+)-アスコルビン酸標準品,チアミン塩酸塩,葉酸,ニコチンアミド,リボフラビン)を対象にした。また二次元目のカラムにおいては,逆相モード,サイズ排除のカラムを選定し,試験した。
|