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2021 年度 実施状況報告書

芽胞形成/発芽プロセスを模倣した可逆的単一細胞被包化技術の開拓

研究課題

研究課題/領域番号 20K20641
研究機関東京大学

研究代表者

江島 広貴  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (00724543)

研究分担者 小林 肇  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (50549269)
研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2025-03-31
キーワード金属-ポリフェノール錯体 / 芽胞形成 / クラミドモナス
研究実績の概要

アンフィバシラス属などの細菌は外部ストレスに対抗して耐久性の高い胞子膜を周囲に形成する。このプロセスは芽胞形成と呼ばれ、芽胞を形成した細菌は通常の細菌と比べて耐性が高く、過酷な環境を生き残ることができる。過酷な環境が終わりを告げると、芽胞を分解して発芽し、再び増殖を始める。しかし、このような芽胞形成/発芽能力をもつ細胞は一部の特定種に限られている。本研究では芽胞形成/発芽プロセスを模倣した可逆的単一細胞被包化技術の確立を目的とした。細胞を生きたままコーティングすることによって被包化し、望むタイミングで脱被包化できれば、細胞分裂や代謝の時空間制御、外部ストレスへの耐性付与、細胞の表面修飾等が可能となり、細胞ベースのセンサー、有用物質生産、細胞療法、単一細胞レベルでの細胞代謝および細胞間コミュニケーション解析などの分野において有用な基盤技術となることが期待される。
二年度目となる令和3年度は、令和2年度に確立したクラミドモナスの被包化のさらなる評価を行った。走査型電子顕微鏡とエネルギー分散型X線分光によってクラミドモナスの細胞表面に形成した被膜を解析した。タンニン酸の濃度が0.4mg/mL以上ではクラミドモナスが完全に被包化されるが、0.1mg/mLでは被膜が部分的に生成していることがわかった。コーティング特性と細胞分裂の抑制との関係を調べたところ、クラミドモナスを完全に被包化すると力学的なバリア形成によって細胞分裂が遅延した。被包化されたクラミドモナスの生存率は90%以上であり、人工殻は高い生物的適合性をもつことがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り、形成した人工殻の電子顕微鏡による観察と被覆されたクラミドモナスの生存率確認が完了し、おおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

外部ストレス(UV照射等)を与え、人工殻形成によってこれら外部ストレスに対する耐性が向上するかどうかを調べる。被包化された細胞の運動性はどうなるかをクラミドモナスをモデル細胞として調べる。次に、人工殻の脱被包化手法を検討する。脱被包化すると増殖能と運動性が元に戻るかどうか検討する。これらの実験により天然の芽胞形成/発芽プロセスを模倣した可逆的単一細胞被包化技術を開拓する。

次年度使用額が生じた理由

2021年度にクラミドモナスの被包化実験について学会発表する予定であったが、新型コロナウィルス感染症の影響で取りやめた。2022年度に学会発表予定。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Encapsulation of Chlamydomonas reinhardtii into a metal-phenolic network2022

    • 著者名/発表者名
      Nikolaj Kofoed Mandsberg, Wenting Liao, Yoshihiro Alexander Yamanouchi, Anja Boisen, Hirotaka Ejima
    • 雑誌名

      Algal Research

      巻: 61 ページ: 102569

    • DOI

      10.1016/j.algal.2021.102569

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2022-12-28  

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