研究課題/領域番号 |
20K20647
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中嶋 豊 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (90513036)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | インタラクション / 自動化システム / 操作感 / 感情 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,自動運転レベル2(車両の縦横方向の制御は自動化されているが,周辺監視や安全への責任はドライバが請け負うレベル)において,ドライバの周辺監視を阻害せず定常的に覚醒度を維持する方法として,ヒトと自動運転システムとのインタラクションに着目し,インタラクションにより生じる「運転操作感への快感情」を安全対策へ適用することである.本研究構想の成果は,自動運転に限らずヒトを介する自動化技術全般に対して適用できる可能性を持つ. 令和3年度においては,中嶋・竹本(2019)において見出された,自動運転車両と「会話(自動車からの運転挙動に対する問いかけに対し,ドライバがボタン押しで応答する)」によるインタラクションがドライバの安全な運転引き継ぎに与える効果を,ドライビングシミュレータ(DS)を使った実験により別の観点より検討した.具体的には,中嶋・竹本(2019)と同様,自動運転車両との「会話」の有無,回数を操作し,自動運転に対する受容,会話の楽しさ,安心感について検討した.「会話」では車両から音声が提示されることから,明示的に「会話をしている相手」が存在することも重要であると捉え,顔インタフェースの有無の影響についても合わせて検討した.実験の結果,会話自体は楽しいものと捉えられていたが,会話回数による影響は見られなかった.また会話自体は煩わしいとも感じられていなかった.安心感は全ての条件において生じたが,会話回数による明確な差は認められなかった.会話インタラクションについては会話回数によらず今後も使用していきたいという結果が得られた.一方,顔インタフェースの明示的な影響は認められなかった.この実験では令和2年度に作成を試みた,運転の操作感に関する尺度についても回答を取得しており,行動データの分析と合わせて,第86回日本心理学会にて発表を予定している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
自動運転と運転操作感の関係,自動化システムに対するヒトの捉え方についての検討は進めであったDSを実際に用いた検討を行なうことができた.実際に実験を行なうことで実験環境に不十分な箇所も見つかったことから,実験条件に応じて必要となる装置を拡充し,新たな実験実施を計画する.
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえた上,対面でのDSを用いた実験実施を継続する予定である.また不測の事態に備え同時にオンライン調査による検討も進める.さらに,学内外の研究者からの助言も参考としながら,計画した研究を推進する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
主に新型コロナウイルス感染症の影響により,学外への出張が制限されたことが大きな理由である.出張が可能となった場合には,ただちにその用途において使用し,オンライン実験環境の拡充,不備のあった実験環境の整備を視野にいれ別の用途での使用も予定している.
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