研究課題/領域番号 |
20K20647
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中嶋 豊 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (90513036)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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キーワード | 自動運転 / ヒト-機械インタラクション |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,自動運転レベル2(車両の縦横方向の制御は自動化されているが,周辺監視や安全への責任はドライバが請け負うレベル)において,ドライバの周辺監視を阻害せず定常的に覚醒度を維持する方法として,ヒトと自動運転システムとのインタラクションに着目し,インタラクションにより生じる「運転操作感への快感情」を安全対策へ適用することである.本研究構想の成果は,自動運転に限らずヒトを介する自動化技術全般に対して適用できる可能性を持つ. 令和4年度においては,令和3年度において実施した自動運転車両との会話の効果について第86回日本心理学会にて発表を行なった.具体的には,自動運転車両との「会話(運転挙動の選択肢に対する,ボタン押しによる意思決定によるインタラクション)」の回数を4回,2回,0回に操作した.また明示的に「会話」をする相手(対象)の存在も重要であると捉え,システムのインタフェースとしてディスプレイ付きのスピーカを自動車のダッシュボードに相当する位置に設置し,ディスプレイ上に顔,単一光を提示する条件と,統制として画面オフの条件を設定した.実験の結果,会話をしている感覚やシステムへの親は顔インタフェースが提示された場合に有意に高いことが示されたものの,会話回数の効果は有意ではなかった.自由記述において運転操作感に関する記述は半数の参加者に見られたことから,会話によるインタラクションが運転操作感を持続させる要因となる可能性を示した.発表により判明した不備についての修正を行ない,誌上発表の準備を行なっている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
自動運転と運転操作感の関係,自動化システムに対するヒトの捉え方についての検討は検討を行なうことができたが,昨年度に見つかった実験環境の未整備点の拡充にやや時間がかかり,昨年度の補足となる実験の実施にとどまった.今年度は新規な環境のもと,新たな実験実施を計画する.
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえた上,対面でのDSを用いた実験実施を継続する予定である.特に,直接的に運動操作感についての測定を実施する予定である.さらに,学内外の研究者からの助言も参考としながら,計画した研究を推進する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度以前に新型コロナウイルス感染症の影響により,学外への出張が制限されたことが理由である.出張,実験の実施に伴う謝金(実験参加者,実験実施協力者),実験環境構築など別の用途なども視野にいれ,適切な執行を行なう.
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