バーチャル・サイクリングに関する現象は、ダニエル・ダヤーンとエリユ・カッツが1980年代に提唱した「メディア・イベント」の新しい形態として位置づけることが可能である。これを踏まえ最終年度は、International Communication Associationの年次大会のPre-ConferenceのThe Legacies of Elihu Katzにおいて、“Media Events in the Internet Age: From ‘Watching on Couch’ to ‘Doing Sports Together’”の報告を行った。また、2020年のパンデミック後に流行したバーチャル・サイクリングのイベントと日本において蓄積されてきたメディア・イベント研究とを接合する論文を執筆した(「自転車競走のメディア史」『メディア史研究』第56号掲載予定)。 研究期間全体を通じて、「バーチャル・サイクリング」や「新情報通信技術とスポーツ・レジャーの融合」の動向に関する論文・雑誌記事・オンライン資料などを収集して整理を行った。また国内外でバーチャル・サイクリング実践者計7名に対してインタビュー調査を実施し、そのオンラインとオフラインを融合させながら展開している多様な経験のあり方について、既存の理論研究の見直しを行いながら分析・考察を行った。口頭発表を2件行ったほか、関連する雑誌論文1本の掲載が決まっている。
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