研究課題/領域番号 |
20K20657
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松井 佑介 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (90761495)
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研究分担者 |
野嶌 一平 信州大学, 医学部, 准教授(特定雇用) (20646286)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 骨格筋ネットワーク / 筋シナジー / ネットワーク伝搬アルゴリズム / 筋活動 |
研究実績の概要 |
近年、筋活動データにおける低次元構造から、筋シナジーと呼ばれる筋協調メカニズムが明らかとなっている。筋シナジーは機能的動作を生み出す際の筋協調活動の単位(運動モジュール)であり、複雑な骨格筋システムから運動機能を発現させるための鍵構造であると考えられている。解剖学的な骨格筋同士の繋がりを表した骨格筋ネットワークと筋活動に基づく運動モジュールと統合することで、中枢神経系による骨格筋システムを通じた運動機能の発現機序をモデル化した運動制御パスウェイネットワークの構築を行い、加齢に伴う運動機能発現の俯瞰的メカニズムを明らかにするための予備検討とデータ準備を行った。 Hosford Muscle Table (URL: https://www.ptcentral.com/muscles) からおよそ300の骨格筋に対する解剖学的隣接情報を集約したレファレンス骨格筋ネットワークを構築した。次に筋活動データに対して、信号解析技術の一つである非負値行列因子分解を用いて全被験者における筋シナジーを導出し、運動モジュールごとの各筋の活性度(係数行列)を、被験者ごとに骨格筋ネットワークにマッピングを行った。これらネットワークに基づき、ネットワーク伝搬アリゴリズム (Cowen et al 2017. Nat Rev Genet) による予測値補完に対して、シミュレーションを用いた検討を行うためのモデル開発を行った。 また、予備検討データとして、分担研究者による協力により、健常者若年者の立位における多部位筋活動データの取得も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響により研究環境準備に遅れが生じたため、データ収集及び解析環境の構築に時間を要した。現在はすでに準備は整いつつあり、アルゴリズム開発は当初計画内容の沿って進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
ネットワーク伝搬アルゴリズムに基づいた筋シナジーにおける未測定筋部位の補完手法構築およびシミュレーション検証を完遂させ、個々に対して骨格筋ワイドなネットワーク構築を行うとともに、その構造の共通性や特異性の解析を行う。研究分担者による高齢者のデータ収集も引き続き進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19によりデータ準備と研究機材納期の遅れが生じたため。繰越分については当初計画に従い、動作測定のための機材を購入し、またデータ解析のための深層学習向けの高性能マシンを購入する。また継続してスパコンを利用を行う。また本格的に大規模なシミュレーションおよび実データを行うため研究補助員を雇用し解析を実施する。また、開発アルゴリズムをオープンアクセスジャーナルに投稿する。
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