研究課題
我々の確立した全血メタボローム技術を用いれば、解析対象に赤血球も含まれることにより、新規メタボライトの発見が可能となると考えられる。今回、我々は患者群をフレイル、認知機能、運動機能にて評価し、それぞれエドモントンフレイルスケール(EFS)、MoCA-J、Timed Up & Go Test(TUG)を利用した。変化するメタボライトを統計学的(Pearsonによる相関、T検定、PCA)にて評価した。当研究では19人(フレイル9例、非フレイル10例)の高齢者(平均年齢84.2 ± 6.9歳)を対象にした。EFSとMoCA-J、TUGはそれぞれ有意に相関していた。131のメタボライトのうち、フレイルとは15つ、MoCA-Jとは6つ、TUGとは12のメタボライトにて有意差を認めた。オーバーラップするメタボライトを勘案すると合計22のフレイル関連のメタボライトで有意差を認めた。その多くはフレイル群、MoCA-J,TUGの悪化群で低下していた。メタボライトの相関関係解析からフレイルに関与する機能的サブグループが示唆された。これらのメタボライトからPCA解析を行った結果、フレイル群、MoCA-JかTUGのどちらかの悪化群、健康群への分離が可能であった。これらのフレイルマーカーによってフレイルの早期診断ができる可能性がある。興味深いことに、15個のフレイルマーカーのうち、10個は抗酸化メタボライト(Erghothioneine、Acetyl-carnocine、Urateなど)の低下であった。フレイルの病態では、抗酸化力の低下が疑われる。
1: 当初の計画以上に進展している
上記の成果・内容を、4つの国際学術誌(H Kondoh他. IJMS 2021, M Kameda他. PNAS 2021, H Kondoh他. Open Bio 2020, M Kameda他. PNAS 2020)に発表し、順調に進んでいる。
同技術を利用して、現在、骨粗鬆症、サルコペニアでメタボローム解析中である。フレイルの介入研究も、倫理審査中であり、今年中に開始できると思われる。
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