研究課題
健康的に長寿を迎えたいという欲求は、古代からの人間の根源的な欲望である。 近年、線虫やショウジョウバエにおいて、Insulin/IRS1/PI3K/PTEN/AKT/FOXO経路への介入によって寿命が有意に延長し、哺乳類においてもPTENのコピーを1つ増加させたPTENトランスジェニックマウス (PTENtg) では、癌の抑制非依存性にも寿命が延長すること、FOXOを制御するAMPK活性化剤メトフォルミンを投与したマウスが長寿になること等も示され、人類が古代から夢見ていた長寿薬の存在が現実となってきた。今回我々はPTENの不安定化分子を見出し、これによる長寿性を検討する。これによってPTEN増加を標的とする長寿薬の探索も可能となり、健康寿命の延長と国民福祉の向上を目指すことを目的とする。平成4年度までに、PTENと結合しこれを不安定化させる新分子として、脱ユビキチン化酵素XとSUMO化E3酵素2種類(Y, Z)の3種類を見出した。Y,Zはその発現を抑制するとPTENが増加し、リン酸化AKTが減少するとともに、細胞増殖がやや低下することを見出した、一方Xの発現を抑制するとPTENが核局在するようになり、PTEN蛋白質が増加することを確認した。その他Y, Z2遺伝子のホモ欠損マウスを作製し、現在その長寿性を検討中である。一方、既知PTENユビキチンリガーゼのうち最もPTEN不安定化効果の高いものはWWP2であることを見出したために、PTEN-WWP2の結合を可視化する系を樹立して、既報の低分子化合物をHTSスクリーニングし、6つの陽性化合物を得たが、2次スクリーニングでドロップアウトしたため、現在条件を変えて未報の低分子化合物のスクリーニングを行っている。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Nature Communications
巻: 13 ページ: 83
10.1038/s41467-021-27648-z.