研究課題/領域番号 |
20K20689
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研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
高見 友幸 大阪電気通信大学, 総合情報学部, 教授 (50300314)
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研究分担者 |
中根 康之 大阪電気通信大学, 総合情報学部, 准教授 (80555441)
原 久子 大阪電気通信大学, 総合情報学部, 教授 (80411479)
木子 香 大阪電気通信大学, 総合情報学部, 准教授 (60624757)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 摩訶大将棋 / 平安大将棋 / 中国象棋 / チェス / 天円地方の思想 / 平安京 / 陰陽五行思想 |
研究実績の概要 |
これまでの我々の研究から得られた将棋史の成果は次の4点に集約できる。1)大型将棋の駒は陰陽五行説で構成される:駒は踊り駒/走り駒/成り駒/2種の歩き駒として五行に分類され、さらに動きの対称性で陰陽に分かれ、六十干支を形成する。2)摩訶大将棋起源説:摩訶大将棋(96枚)から駒を順次31枚ずつ減らし、大将棋(65枚)、平安大将棋(34枚)が成立する。大大将棋(96枚)への変化の際にも31枚の駒が減らされ別の31枚の駒が導入される。3)摩訶大将棋の将棋盤は初期平安京の条坊を模した可能性が大きい。盤のマス数と条坊の数が一致する上、平安京が拡張されたときにもそれに連動して盤の大きさと駒の初期配置が変化していると解釈することができる。4)大将棋から平安大将棋が作られる際には,取り除かれた駒は,そこで消え去るのではなく成り駒として残される.または,駒の名前は消えるにしても,駒の動きが残される。 上記の研究成果の延長線上として今年度は以下の研究進展を見た。摩訶大将棋から順次駒数を減らして成立した最終形の平安大将棋は,ここで2分割され、中国象棋とチェスの原型になった可能性を確認した。この結果は、上記した大将棋から平安大将棋が作られる際の将棋の変遷過程の規則をそのまま中国象棋とチェスの成立過程として適用したものである。この規則は、中国象棋とチェスのほぼすべての駒に対して成立しており、論理的な説得力を持つ。たとえば、飛車、角行、嗔猪、猫又、猛牛の駒は、大将棋から平安大将棋に変わるときに取り除かれた駒であるが、これらの動きは、平安大将棋の中に残されているとともに、さらに、中国象棋とチェスの駒の動きとしても、平安大将棋の駒との一対一対応を保ちつつ残されていることがわかる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
コロナ禍の影響により、研究計画のひとつとして組み入れていた大型将棋の対局・展示イベントおよび将棋史ワークショップの開催が実施できないという状況が続いているものの、その分の研究時間が周辺の関連研究に注がれており、想定以上に進展する結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
まだ実施されていない大型将棋の対局・展示イベント、将棋史のワークショップを是非行いたい。1)対面での対局会・展示イベント会場にて将棋史愛好家諸氏に広く見解を求めるとともに、2)対局をネットワーク対局とし研究成果のWebサイト公開も開始したい。上記2)では、イベント会場での対局・展示と同等の機能を持つWebアプリケーションを開発中である。 従来の研究が、文献や出土駒だけに注目して行われてきたのに対し、我々の研究は、遊戯ルールの詳細な分析が特徴である。今後、文献史学的な補足が必要となるものの、将棋の駒の変遷過程の規則は、ほぼすべての駒に対して成り立っており、この規則を認める限りにおいては、我々の仮説(平安大将棋が中国象棋とチェスの起源になった将棋であると見る説)は正しいと考えている。しかしながら、象棋やチェスの側からの確認および検証は必須である。今後の研究においては、海外の中国象棋およびチェス研究者に対して、上記仮説を積極的に広報した上で、国際会議やインターネット上で広く議論の場を作っていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:コロナ禍の影響により、大型将棋の対局・展示イベントおよび将棋史ワークショップの開催が見送られ、次年度での実施となったため。 使用計画:大型将棋の対局・展示イベントの開催経費(将棋駒と盤の製作費・展示パネル製作費等)および将棋史ワークショップ開催のための経費(リモート会議開催の設備費・広報および議論のためのWebサイト製作費等)として計上する予定である。
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