パキスタンとインドは、2024年5月時点でも政治的には決して歩み寄る姿勢が見られないが、実際にはウルドゥー語とヒンディー語という枠組みを超えて、共通の文法構造を持つ言語を用いる者同士、ほぼ支障なく意思疎通が可能である。また、ヨーロッパ各地に移民として居住している、南アジア地域にルーツのある人びとも、ヒンディー語、ウルドゥー語と呼ばれる言語を用いて意思疎通していることが改めて確認できた。インタビューの結果は現在もデータ整理の途中であるが、その文法構造や語彙についても、「ヒンドゥスターニー語」と呼ばれるべき言語であるという実感を得たことは、社会言語学の観点からも、学術的に大きな意味を持つと考える。
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