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2021 年度 実施状況報告書

幼児の話合い活動の過程と交渉技術の発達についての包括的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K20695
研究機関富山大学

研究代表者

宮城 信  富山大学, 学術研究部教育学系, 准教授 (20534134)

研究分担者 小磯 花絵  大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 音声言語研究領域, 教授 (30312200)
居關 友里子  大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 音声言語研究領域, プロジェクト非常勤研究員 (70780500)
研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2023-03-31
キーワード幼稚園児 / 園児の話し合い活動 / 映像付きコーパス / 園児の相互交渉方略 / 園児の合意形成 / 園児の言語発達
研究実績の概要

本研究における「研究の目的」は、映像を含む幼児の話合い活動の記録をコーパスとして整備し、それに基づき幼児の話合いの場における相互交渉方略の解明と 発達に関する実証的研究を実施することにある。協力園は、1学年36名前後の国立大学附属の小規模園であること、学年クラスに関係なく園児同士の交流がある ことから、濃密な交友関係があるので、園児らの相互交渉能力の発達の調査には最適である。 そこで本研究では、昨年度に引き続き、3つの着眼点を設定して「研究計画」に沿って研究を進めている。2021年度の中心的な研究計画は、「相互交渉による幼児の主張の変 化」(申請書(2)の項目 )の調査の分析を進めた。ただし、協力園で収録予定であった話し合いの場面は、「子ども祭りの劇」「保護者への感謝の言葉」であるが、コロナ禍で行事も縮小・中止となり、十分なデータが収集できなかった。そこで、収録済みのデータを活用して、小磯・居關が、話し合い活動に着目して、発話順番取得のストラテジーに関する予備的考察を実施した。順番取得は話し合い活動記述の根幹をなすシステムである。幼児は幼児なりに相手意識をもって取得の方略を身につけつつある姿が確認された。また、宮城が、幼児と大学生の応答表現について収集したデータから分析を進めた。広義の応答表現にはさまざまなパターンがあることを確認し、さらに聞き手(大学生)が幼児であることを意識して、応答表現を変化させることを確認した。全体として、昨年度からのコロナ禍により、話し合い活動の収録の他にも、コーパスの構築・分析に遅滞が出ている。このような制限下の状況における本年 度の成果は、コーパス全体の概要紹介と、構築の進捗状況の報告と、特定の話し合い活動中のやりとりの分析に関するものとなった。今後研究計画を進めていく ための基礎研究の整備を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度はコロナ禍の影響で、協力園での収録がほぼ実施できなかった。そのため研究の進捗に大幅な遅滞を生じている。また、同じ理由で協力研究機関での人員 確保が思うように進まず、データ処理作業を十分に進めることができなかった。一部テレワークなどを活用して作業を分担して進めていたが、やはりいくらかの 遅滞が発生している。また、研究分担者との連絡に関しても、研究打ち合わせが遠隔会議に限られるので、一緒にデータを見て検討したり、協力園の状況を確認 したりといった活動が制限されいる。そのため情報共有に一部支障が発生している。特に研究分担者の小磯、居關が東京を離れられないことで、調査園現地での 実態調査という点で支障をきたしている。 一方、少しづつであるがコーパスの構築は進んでおり、研究計画の予定を消化しつつある。またデータ処理や資料の整理を進めている途中段階であるが、一部活 用できる資料を使った学会発表・論文発表では成果を出すことができた(この点は「おおむね順調に推移している」と考えられる)。状況は、昨年度とほぼ同じ。

今後の研究の推進方策

継続的に協力園との折衝を行った結果、協力関係を維持できている。2020年度に複数回園内の見学や園の活動計画を伺った。2021年度はコロナ禍の影響もあり、予定通りの調査がほとんど進められなかったため、既に収録している映像の分析に注力した。2022年度は、現在のところある程度落ち着きを見せているので、それに併せた収録計画を企画している。今後の予定としては、十分に収録ができていな い分の収録を進め、スムーズにデータの処理を行い、コーパスの構築を進めたい。環境が整備されたところで、「話合いによる合意形成の過程」(申請書(1)の 項目 )や「教師の介入による相互交渉方略の変化」(同(3))についても、分析を進める予定である。 話し合い活動の収録予定など一部研究計画に遅れが出ている。本年度の状況によっては、今後大幅な予定の変更も必要になる可能性がある。昨年度のに引き続き、年度内に進捗状況やコーパスの研究活用についての発表・論文化を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍により、協力園での幼児の話し合い活動の収録が予定通りに行えなかったことで、本年度予定していた話し合い活動の新規データの収録における研究協力者の謝金業務、および、新規データの整理、画像処理などの外注業務が十分に行えなかった。(収録済データに関しては、謝金および外注作業でテキスト化や注記作業を進めることができた。)
収録時の集音方法についても検討を進め、機材を追加するとともに改善を検討した関係で、一時作業を中断せざるえなかったことも遅延に影響している。
予断を許さないが状況が大きく悪化しなければ、進捗の遅れは解消される見通しである。研究計画、達成目標に大きな変 更はない。学会発表・論文化に関しては予定通り随時進めていく予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 幼児との会話における応答表現の使用 : 聞き手の意識と応答表現の選択傾向に着目して2022

    • 著者名/発表者名
      宮城 信
    • 雑誌名

      富山大学国語教育学会『富山大学国語教育』

      巻: 45 ページ: 23-37

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 幼児の発話順番取得のストラテジーに関する予備的考察 : 園児の話し合い活動の事例分析から2021

    • 著者名/発表者名
      居關 友里子・小磯 花絵
    • 雑誌名

      国立国語研究所『言語資源活用ワークショップ発表論文集』

      巻: 6 ページ: 171-177

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 幼児の発話順番取得のストラテジーに関する予備的考察 : 園児の話し合い活動の事例分析から2021

    • 著者名/発表者名
      居關 友里子・小磯 花絵
    • 学会等名
      言語資源活用ワークショップ2021

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公開日: 2022-12-28  

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