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2022 年度 研究成果報告書

朝鮮通信使行列図の再解釈―「虚構」を含む史資料の歴史的位置―

研究課題

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研究課題/領域番号 20K20717
研究種目

挑戦的研究(萌芽)

配分区分基金
審査区分 中区分3:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
研究機関名古屋大学

研究代表者

池内 敏  名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (90240861)

研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2023-03-31
キーワード朝鮮通信使 / 行列図 / 画像 / 近世
研究成果の概要

江戸時代の朝鮮通信使行列を描いた図は、国内外に少なからず残されている。それらは、本当の朝鮮通信使の行列をそのまま写実的に描いたもののように見えながら、いくつかの虚構を含むこともまた指摘されてきた。なかでも神戸市立博物館所蔵「朝鮮人来朝行列図」をめぐっては、1990年代の黒田日出男およびロナルド・トビにより、江戸の天下祭の仮装行列を描いたものとして解釈され、それが通説的な位置を占めて今日に至る。本研究は、当該図および類本を朝鮮通信使行列図の全体的傾向のなかに置き直して再検討した。神戸市立博物館所蔵「朝鮮人来朝行列図」は、祭礼行列図を参考にして朝鮮通信使行列を描いた図であることを確定した。

自由記述の分野

近世日朝関係史

研究成果の学術的意義や社会的意義

神戸市立博物館所蔵「朝鮮人来朝行列図」は、そこに朝鮮通信使行列にはあり得ない要素が数々あることをもって、江戸の天下祭の仮装行列を描いたものだとする主張が1990年代に発表され、今日、これが通説となっている。本研究は、動画を静止画に書き留める技術が無かった江戸時代には、朝鮮通信使行列を徹底して写実的に描くことは困難であり、祭礼行列の要素を借りながら朝鮮通信使行列を描かざるをえなかったことを明らかにした。近世絵画に含まれる虚構は、当該図の写実性・真実性を担保するものとして導入されたと理解する方が良い。本研究は、そうした絵画資料を歴史分析の素材として用いる際の視点の転換を促す意義を持つ。

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公開日: 2024-01-30  

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