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2020 年度 実施状況報告書

第二次大戦期「帝国主義」の国際比較:グローバル・ファシズム研究の基盤構築に向けて

研究課題

研究課題/領域番号 20K20722
研究機関関西学院大学

研究代表者

門間 卓也  関西学院大学, 文学部, 研究員 (90868291)

研究分担者 高綱 博文  日本大学, 通信教育部, 教授 (90154799)
関 智英  津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (30771836)
新谷 崇  茨城大学, 教育学部, 助教 (30755517)
重松 尚  東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (90850917)
猪狩 弘美  桐朋学園大学, 音楽学部, 非常勤講師 (30732606)
研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2022-03-31
キーワードファシズム / 青年知識人 / プロパガンダ / 第二次世界大戦
研究実績の概要

初年度(2020年度)は新型コロナ・ウィルスの影響から現地調査(欧州及び中国)が不可能になった事情を鑑みて、研究計画を一部修正した。まず各人がこれまでの研究内容を報告する形で研究会を開催し(オンラインで9月及び12月の都合2回)、日独帝国の占領下にあった時期の中国と南東欧地域に現れた支配体制および社会情勢の共通点と差異について確認した。また当初は研究期間を通じて順次取り組む予定であった「総力戦体制」内での大衆動員と食糧政策の分析にあたっては、個々に論文化を進めながら随時比較検討する態勢を整えている。
2020年9月の研究会では門間が「クロアチア独立国」における体制派知識人のファシズム認識の変遷について報告した上で、占領期中国社会のケースと類似した点を確認した。また12月の会では関が中国青年党の戦間期からの活動について検討し、国民党や共産党と異なる政治勢力、およびそのイデオロギーの所在に言及した。両報告は被占領地社会における青年層・知識人・「コラボ」の関係について再検討を促しながら、同地での大衆動員の構図を解明するにあたり新たな視点を提示するものだったと言える。昨今では欧州およびアジア圏で「記憶の政治」あるいは歴史認識を巡る問題が浮上しているが、両報告の分析対象が共にその政治課題に関連したものであることを踏まえて、実証及び解釈の両側面から「グローバル・ファシズム」の展開を追うことが重要であるとの認識を共有した。以上の議論を基にしながら、今年度は各人が研究成果の一部を書籍・学術論文として発表することが出来た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現地調査が困難になり各人共に新たな文書館史料を入手出来ないため、当初の計画と比べて共同研究の内容がやや不十分なものとなっている。ただし継続的に議論を重ねたことで個々人が一定の研究成果を挙げることが出来た。またオンライン・ツールを活用して、本研究課題に関心のある外部の研究者を招いた勉強会を企画・開催するなど、各人が研究上の視野を広めることには成功している。

今後の研究の推進方策

来年度(2021年度)は本格的に共同研究に取り組むため、各人の研究報告と外部のコメンテータを交えたディスカッションから成る公開ワークショップを開催する(オンライン、7月予定)。その成果をベースとして学術論集の執筆・出版に取り組みたい。また2021年度は研究期間の最終年度であるが、新型コロナ・ウィルスの影響から現地調査が十全に実施出来ない可能性が高いため、翌年度への延長措置も想定している。

次年度使用額が生じた理由

当初の研究計画では研究代表者・分担者の各人が海外渡航して現地調査にあたる予定で旅費および調査に係る人件費・謝金を予算計上していたところ、2020年度は新型コロナ・ウィルスの影響から渡航自体が不可能になったため、その分の金額を翌年度に繰り越すことになった。2021年度の予算として旅費の使用を予定しているが、未だ渡航の目途が完全に立ったとは言えないため、研究期間の延長も視野に入れている。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (4件) (うちオープンアクセス 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 戦後上海<グレーゾーン> ―上海最後の日本語新聞『改造日報』をめぐって―2021

    • 著者名/発表者名
      高綱博文
    • 雑誌名

      研究紀要(日本大学通信教育部)

      巻: 34 ページ: 67-88

  • [雑誌論文] 権威主義政権に対抗するファシズム体制構想 ―リトアニア人行動主義連合(LAS)の分析を中心に2021

    • 著者名/発表者名
      重松尚
    • 雑誌名

      国際政治

      巻: 202 ページ: 47-60

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 書評/タラ・ザーラ著『失われた子どもたち 第二次世界大戦後のヨーロッパの家族再建』(みすず書房、2019年)2021

    • 著者名/発表者名
      門間卓也
    • 雑誌名

      現代史研究

      巻: 66 ページ: 77-84

  • [雑誌論文] パンと祖国:ファシズムの小麦戦争2020

    • 著者名/発表者名
      新谷崇
    • 雑誌名

      立命館言語文化研究

      巻: 32(1) ページ: 23-37

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 中国第三勢力の対日協力―華北の動きを中心に2021

    • 著者名/発表者名
      関智英
    • 学会等名
      中国現代史研究会(関西)年次総会シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 両大戦間期リトアニアの反ユダヤ主義的言説と事件2021

    • 著者名/発表者名
      重松尚
    • 学会等名
      ワークショップ「大戦間期中東欧における反ユダヤ主義の展開 ―地域比較の観点から」
  • [学会発表] 1930年代リトアニアのカトリック青年知識人と有機的国家構想2021

    • 著者名/発表者名
      重松尚
    • 学会等名
      北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター公募プロジェクト型共同研究「戦間期東欧社会の権威主義体制と極右民族主義勢力の分析 ―グローバル・ファシズムの潮流に注目して」ワークショップ
  • [学会発表] 「バルカン型政治」の権威主義とファシズム ―ユーゴスラヴィア王国の「クロアチア人問題」を巡るプロパガンダ―2021

    • 著者名/発表者名
      門間卓也
    • 学会等名
      北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター公募プロジェクト型共同研究「戦間期東欧社会の権威主義体制と極右民族主義勢力の分析 ―グローバル・ファシズムの潮流に注目して」ワークショップ
  • [図書] 多様性を読み解くために(分担執筆:「実質的な平等」に向けた試み:中・東欧における属人的自治構想から考える)2020

    • 著者名/発表者名
      エスニック・マイノリティ研究会(編)(重松尚ほか著)
    • 総ページ数
      222
    • 出版者
      東京外国語大学海外事情研究所
  • [図書] ナチズム・ホロコーストと戦後ドイツ(分担執筆:ナチ強制収容所体験と生存者たちのその後)2020

    • 著者名/発表者名
      石田勇治、川喜田敦子(編)(猪狩弘美ほか著)
    • 総ページ数
      384
    • 出版者
      勉誠出版
    • ISBN
      9784585225133
  • [図書] 日中戦争期「対日協力政権」(全10巻)2020

    • 著者名/発表者名
      関智英(監修・解説)
    • 総ページ数
      4657
    • 出版者
      ゆまに書房

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公開日: 2021-12-27  

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