研究課題/領域番号 |
20K20722
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
門間 卓也 関西学院大学, 文学部, 研究員 (90868291)
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研究分担者 |
高綱 博文 日本大学, 通信教育部, 教授 (90154799)
関 智英 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (30771836)
新谷 崇 茨城大学, 教育学部, 助教 (30755517)
重松 尚 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (90850917)
猪狩 弘美 桐朋学園大学, 音楽学部, 非常勤講師 (30732606)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | ファシズム / グローバル・ヒストリー / 第二次世界大戦 / 帝国 |
研究実績の概要 |
今年度(2021年度)は、昨年度に引き続き新型コロナ・ウィルスの影響から現地調査(欧州及び中国)が困難になったことから、オンラインでの会合やワークショップの開催を継続的に開催し、それぞれの研究内容を比較検討する態勢を整えた。またその催しに外部の研究者を積極的に招くことで、共同研究の活性化に取り組んだ。 特に7月には、研究メンバーを報告者に据えたオンライン・ワークショップ「戦時期「グレーゾーン」を架橋する ―東アジア・欧州の被占領地からの視点―」を企画・開催した。その際、戦間期から戦時期の中国(高綱、関)、イタリア(新谷)、リトアニア(重松)、クロアチア(門間)の事例を取り上げながら、日独帝国の統治体制と現地情勢の連関について各人が報告した。その内容を基に、各人が寄稿する論集『グレーゾーンと帝国(仮)』の執筆・編集作業を進めた。 また10月にはオンライン・国際ワークショップ「Fascism in Motion」を開催して、国内外の研究者と共に、アジアとヨーロッパの両地域における「グローバル・ファシズム」の歴史的実態を比較検討する作業を行った。これは大戦間期に世界規模でファシズム運動が流通する中、各地域の知識人や政治家がいかにしてファシズム・イデオロギーを受容あるいは利用したか問うものだった。 これらの作業を通じて、現在の「グローバル・ファシズム」研究の国際的水準を確認すると共に、日本を拠点にした研究領域の開拓とその拡充に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の中で、初年度より引き続き現地調査が困難な状態が続いた。そのため、各人共に新たな文書館史料を入手出来ておらず、当初の計画と比べて共同研究の成果がやや不十分なものに留まっている。ただし継続的に議論を重ねたことで、個々の研究メンバーは一定の研究成果を挙げることが出来た。特にオンラインながら国内および国際ワークショップを開催したことで、今後の共同研究の方向性も共有された。
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今後の研究の推進方策 |
当初の課題目標を踏まえて個別の研究を進めるため、2021年度が最終年度であったところ、次年度への研究期間の延長を決定した。また2022年度は現地渡航条件が漸次的に緩和される見込みであるため、各人が史料を新たに収集して研究領域の拡張に取り組む予定となっている。またその研究成果を基にした論集『グレーゾーンと帝国(仮)』の出版を計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は現地(中国および欧州)への渡航が可能になるものと見込んで予算を組んでいたところ、コロナ禍の影響を受けてそれが不可能となり、研究期間を延長した上で同経費を持ち越すことになった。予算額は、渡航費および現在執筆・編集中の論集(研究メンバーが寄稿した研究成果物)の出版費用に充てる予定である。
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