研究課題/領域番号 |
20K20722
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分3:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
門間 卓也 関西学院大学, 文学部, 研究員 (90868291)
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研究分担者 |
高綱 博文 日本大学, 通信教育部, 研究員 (90154799)
関 智英 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (30771836)
新谷 崇 茨城大学, 教育学部, 助教 (30755517)
重松 尚 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (90850917)
猪狩 弘美 桐朋学園大学, 音楽学部, 非常勤講師 (30732606)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | ファシズム / 対独協力 / 対日協力 / 知識人 / グローバル・ヒストリー / 帝国主義 / 国際比較 / 第二次世界大戦 |
研究成果の概要 |
本研究は、第二次世界大戦時にナチ・ドイツまたは大日本帝国の勢力圏に含まれた欧州諸地域、あるいは中国や東南アジア諸国に焦点を当て、現地社会の統治体制内部で「コラボ(漢奸)」が実践した対独・対日協力の複雑な諸相を比較検討するものである。研究遂行にあたり、西洋史と東洋史の垣根を越えてグローバル・ファシズム研究の基礎を築くことを主眼とした。またプリーモ・レーヴィが提唱した「灰色の領域」と呼ばれる概念を用いて、分析対象となるアクターの行動原理がいかなる「主体性」を孕んだものであるか精査した。最終的な研究成果は論集(髙綱博文・門間卓也・関智英編)『グレーゾーンと帝国』(勉誠出版、2023年刊)にまとめた。
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自由記述の分野 |
東欧史、ナショナリズム、ファシズム
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究課題の学術的意義は、東洋史および西洋史を架橋する形でファシズム研究の刷新に取り組んだことにある。特に「ファシズム」の土着化を「支配-被支配」の構図に還元するのではなく、日独の「帝国主義」が展開する最中で「コラボ(漢奸)」が単なる体制従属ではなく旧秩序の再編を望みながら「主体性」を発揮し得た背景を考察することで、ファシズム研究を国際比較の主題として再設定すべく努めた。また近年、世界規模で第二次大戦時の経験を巡る「記憶の政治」が隆盛を見せていることを念頭に置けば、あらためて「ファシズム」の実態を精査する歴史研究は、現行の修正主義的歴史観に更新を促す強い社会的意義を持ち得るだろう。
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