研究課題/領域番号 |
20K20731
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
鹿嶋 洋 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (50283510)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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キーワード | 移住者 / 起業 / 田園回帰 / 空間的行動 / 学習 |
研究実績の概要 |
近年,地方への移住者の増加とともに,田園回帰の議論が注目を集めている。若手移住者による多様な形態の創業が報告されているが,移住者による創業の地域的条件や地域構造との関連など,未だ不明確な点が多く残されている。本研究は,地方の農村地域において,移住者による創業がいかになされるのか,その際にいかに地域内外の諸要素との連関を取り結んでいるかを,創業者の学習過程と空間的行動に着目して解明しようとするものである。 本年度は,第1に,移住起業に関する近年の研究動向を整理した。移住起業に関しては,起業者自身がどのような生活の志向性を有しており,どのようなライフコースを経てきたかを把握することが重要であることが分かった。また,移住起業先地域の地域的条件として,都市からの近接性,良好な自然環境,行政による制度的支援やサポート人材による支援の存在等が重要な要因と考えられることが把握できた。これらの検討から,移住起業者の行動を多角的に把握する必要があることが明らかになった。 第2に,昨年度からの継続作業として,移住者の個別情報をWebサイトや移住者向けパンフレット,新聞記事等の公表データから収集し,データベースに整理した。対象地域は熊本県内の市町村に加えて,九州内の他県にも作業を拡大しつつある。 第3に,統計データに基づいて,自営業従事者の地域的分布と近年の変化の動向について予備的な把握を進めた。若い年代で自営業従事者の割合が高くなっている地域の存在などが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
移住起業者に対するインタビューは新型コロナウィルスの影響により控えざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を1年延長し,移住起業者へのインタビュー調査に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響により旅費をほとんど執行できなかったためである。今後オンラインでのインタビューも行っていく。応募時(2019年10月)に想定できなかったことであり,無理に執行せず最終年に残額が生じれば返還したい。
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