| 研究課題/領域番号 |
20K20734
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| 研究機関 | 東京理科大学 |
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研究代表者 |
木名瀬 高嗣 東京理科大学, 工学部教養, 准教授 (80548165)
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| 研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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| キーワード | 表演芸術（パフォーミングアーツ） / 台湾 / 西洋クラシック音楽 / アイデンティティ |
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| 研究実績の概要 |
本研究は、近・現代台湾における（広義の）西洋クラシック音楽の受容と社会構造、そしてそれらと人々のアイデンティティとの関係について、とくに２つのテーマ（①台湾社会における「多様性」と「表演芸術」、②〈芸術〉と〈大衆文化〉との接触領域）を焦点として文化人類学と歴史研究の両面からアプローチすることを目的に掲げて立案された。文化人類学的なフィールドワークにせよ歴史的な文書資料にせよ、台湾に赴いて林承緯氏（国立台北芸術大学教授、民俗学者）を研究協力者としながら現地調査をおこなうことが申請の時点における前提であったが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止措置にともなう日本と台湾との地域間移動の制限により研究の遂行は困難を極めた。
そうしたなかで発表された拙稿「台湾表演芸術観察記」（『K』創刊号、2020年9月）は、本研究を構成する基本的な問題意識を開示しつつ近年の台湾における劇場文化の展開について（とくに台中国家歌劇院《ニーベルングの指環》［2016～2019年］に着目して）論じた成果である。また、台湾は新型コロナウイルス蔓延の抑止にかなりの程度成功し芸術活動の再開も世界に先んじていたことから、そうした状況について『音楽の友』誌で２度報告をおこなった（2020年11月、2021年1月）。そのうち８月衛武営国家芸術中心（高雄）からインターネットでライブ配信された《トゥーランドット》は、近年の国際的な政情や台湾人意識と深く関わる演出がなされていた点で、とくにテーマ①の問題系につながる重要な事例であったと言えるだろう。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
現今の新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延は多くの学術分野において研究の進捗に甚大な影響をもたらしているが、とくに現地でのフィールドワークを基礎とする人類学的調査においては、感染拡大防止措置にともなう地域間移動の制限により研究の遂行そのものを阻まれてしまっている。本研究においても、この間に前年度まで予備的に収集してきた情報の整理および研究協力者との継続的な連携を通じて具体的な調査対象の絞り込みを進めたものの、結果として初年度に予定されていた現地調査を実施することは残念ながら不可能であった。「研究実績の概要」に記した成果は、あくまでも日本国内においておこない得た観察や考察に基づくもののみにとどまっている。よって本研究の進捗状況は遅滞していると言わざるを得ない。
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| 今後の研究の推進方策 |
当初計画の２年度での研究遂行はほぼ不可能であると見込まれることから、遠からず日本と台湾の両地域における新型コロナウイルス感染症の状況が改善したとしても、挑戦的研究（萌芽）に認められている１年度の延長は最低限必要となるだろうが、状況によってはさらなる時間を要することも十分に考えられる。同感染症の影響に伴う補助事業期間の（再）延長等の措置が講じられるならば是非とも活用したいところである。
なお、本研究は申請段階で「日本を含む東アジア地域の「表演芸術」をめぐる学際的な比較研究」を将来的な展望として記している。これについては科研費とは別に東京理科大学から教員に配分される研究費を利用して国内の地方における芸術活動を事例とした（同様の問題意識に基づく）調査を並行しておこなっていることから、それを一部組み込む形で本研究の計画を変更する可能性についても念頭に置きながら、視野をより拡大する方向でこのテーマに関連する研究活動を実施していく所存である。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
「現在までの進捗状況」および「今後の研究の推進方策」でも述べたように、予定されていた台湾での現地調査が新型コロナウイルス感染症の影響によって実施できないことから、目下本研究はその遂行に困難をきたしている。予算として計上された研究費についてもその大部分を現地調査の費用に充てることが計画されており、まずは同感染症の状況改善を期待して移動制限が緩和されたのちの調査を実施すべく多くを温存している状況にある。
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