研究課題/領域番号 |
20K20735
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
荒又 美陽 明治大学, 文学部, 専任教授 (60409810)
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研究分担者 |
内藤 正典 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 教授 (10155640)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 移民 / 難民 / 移動民 / ヨーロッパ / 欧州委員会 / Frontex / 受入施設 |
研究実績の概要 |
新型コロナウィルスの蔓延とその対策による入国制限によって(とりわけ日本に帰国した際の待期期間の問題によって)、冬期休暇及び春期休暇など、授業の合間での調査旅行は全く考えられない状況にある。そのため、2020年度は、資料収集と今後の調査計画の精密化およびネットワークづくりに充てることとした。 具体的には、1)難民に関する基礎的な文献や映像資料の収集を行い、精読を進めた。2)11月に代表者と分担者の対面での研究打ち合わせを行った。その際、トルコ‐ヨーロッパ関係を中心に、難民の発生や扱いの違いとそれぞれの社会情勢のかかわりの整理を行った。3)12月、日本におけるミャンマー移民の家族を描いた映画「僕の帰る場所」の上映会を行った。広く意見交換を行うなかで、審査の恣意性や、宗教の違いによる待遇の違いを見分ける能力の低さが日本の難民を追い込んでいる状況が見えてきた。4)3月、大阪市の空爆に関する博物館の一角で行われた第二次大戦中のユダヤ人への連帯に関する展示を見ることができた。極限に置かれたときの人間性について考えると同時に、そこまで個人の負荷になる状況を作り出さないこと、見えない小さな抵抗のかたちもすくいあげる必要性についても考えさせられた。 以上のような研究活動と並行して、当初からの研究分担者のほかに、研究協力者が何人か見えてきた。EU機関の研究や、日本の難民収容施設の問題、またセクシュアル・マイノリティ移民の研究者と意見交換を行うことができ、今後の展開の可能性が広く見えてきた。 このように、2021年度の研究活動を始める準備は十分にできてきた。あとはワクチン接種による感染状況の向上を待ちたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
7月末の採択ののち、ヨーロッパやトルコでの現地調査ができないという意味で、研究が非常に順調とは言えない状況であるが、逆に事前調査はかなり進んだといえる。2020年度に議論できた何人かの研究協力者のおかげで、2021年度以降は研究の進捗は非常に速いものになると思われることもあり、心配のない状況といえる。
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今後の研究の推進方策 |
既に述べた通り、研究協力者が3人増えるので、調査研究の進展に関しては、素早い展開が期待できる。ヨーロッパでの現地調査は遅れているといえるが、日本を含めた難民に関し、研究協力者と一緒に広く研究を展開していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
最大の理由は、Covid-19により、移動に厳しい制限がかかったことである。その制限が解けたときに、研究協力者と併せて調査を行うため、今後の使用計画には支障はない。
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