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2021 年度 実施状況報告書

デジタル・プラットフォーム時代における商標法理論の再構築

研究課題

研究課題/領域番号 20K20741
研究機関信州大学

研究代表者

玉井 克哉  信州大学, 経法学部, 教授(特定雇用) (20163660)

研究分担者 堀田 秀吾  明治大学, 法学部, 専任教授 (70330008)
研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2023-03-31
キーワード商標法 / 出所表示機能 / 品質保証機能
研究実績の概要

本研究は、いわゆるGAFAなどによるデジタル・プラットフォーム上の購買環境が発展した現状を踏まえ、商標法理論の原理的な再構築を目指すものである。19世紀に現れた近代商標制度の根幹は商標の「出所表示機能」であり、今日でも日本ではそれが妥当する。しかしながら、20世紀の高度大衆消費社会にそれは動揺し、デジタル・プラットフォームの登場した今日では、決定的に不適合である。特に、A.商品のトレーサビリティの確保、B.ネット販売におけるブランドイメージ、さらに、C.ネット販売における「事業者」の意義について抜本的に見直すことが目前の課題である。これらに既存理論の下で個別的対処を図るのではなく、「品質保証機能」こそが商標の基本機能だとする方向で商標法理論全体を組み直すことで対応するのが、本研究の眼目である。
令和3年度は、当初計画にもとづき内外の文献を渉猟し、研究の基盤となる情報の整理を行った。もっとも、内外企業へのインタビュー調査や学会参加などは、オミクロン株の蔓延により、やむをえず延期した。
本研究とともに、社会実装に関する検討も進んでいる。特に上記Aに関しては、玉井克哉「商品識別番号の改変と商標権侵害─商標の品質保証機能を重視する立場から─」知財管理70巻5号601頁(2020=令和2年)の反響が大きく、準備を進めている。また、Amazon等、デジタル・プラットフォーム経由による個人輸入が著しく増大している問題については、それを商標権侵害とする「特許法等の一部を改正する法律」が令和3年5月14日に国会を通過し、同21日に法律第42号として公布された。上記B・Cに直接関わるこの法改正につき、研究代表者は、特許法改正の立案審議を任とする産業構造審議会特許制度小委員会の委員長として関与した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、当初計画していた国内出張(地方に所在する企業に対するインタビュー調査)を延期し、かつ新たに企図した海外での調査や学会発表を延期せざるをえなかったが、それを除けば、おおむね当初の研究計画どおり研究を進めることができた。

今後の研究の推進方策

今後も当初の予定どおり研究を遂行していくが、地方(国内)でのインタビュー調査の時期に関して見通しが立たない状況であることから、研究計画の一部変更をも視野に入れつつ、臨機応変に研究を進める。また、前記商標法改正法案は本研究の上記B・Cに関わるものである。その内容の商標法理論への反映も、本研究の課題として発展的に統合していく。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、当初計画していた地方(国内)への出張をほとんど行うことができなかったこと、および、当初の見込みよりも事務処理謝金を抑えられたことにより、次年度使用額が生じた。
次年度使用額は、学会参加・インタビュー等の旅費として確保するほか、適宜、物品費(書籍代)として使用する。

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公開日: 2022-12-28  

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