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2021 年度 実施状況報告書

ヒト胚への医学的介入の法ルール確立における人権論と科学的知見の融合理論の可能性

研究課題

研究課題/領域番号 20K20745
研究機関法政大学

研究代表者

建石 真公子  法政大学, 法学部, 教授 (20308795)

研究分担者 中塚 幹也  岡山大学, 保健学研究科, 教授 (40273990)
來田 享子  中京大学, スポーツ科学部, 教授 (40350946)
石井 哲也  北海道大学, 安全衛生本部, 教授 (40722145)
土屋 仁美  金沢星稜大学, 経済学部, 准教授 (80727040)
研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2023-03-31
キーワードヒト胚 / 胚研究 / 生命への医科学による介入 / ジェンダー / トランスジェンダー / 生命倫理 / ゲノム編集 / 遺伝子
研究実績の概要

本研究は、ヒト胚に対する研究に関して、医科学の進展に対する法の観点からの規制の是非、セクシュアリティ、生殖、価値判断の担い手、価値判断の基準、科学に関する評価などの多様で幅広い課題の検討が求められる。2021年度は各研究者による個別の専門領域におけるヒト胚研究、生命への医科学による介入、性別やジェンダー、遺伝子ドーピング、農作物種子法に関して進めてきた。具体的には、建石は、憲法学と国際人権法学の観点から、生命への医科学の介入の検討としてトランスジェンダーの性別変更における生殖腺除去について、フランス及びヨーロッパ人権裁判所が,私生活の尊重、人体の完全性の保護を根拠として生殖腺除去を要件とする法律を条約違反としフランスは法改正を行った点、フランスの生命倫理法改正における「人間の尊厳」と研究目的のヒト胚に対するゲノム編集の一部容認において、人間の尊厳という憲法規範の曖昧さが浮き彫りになったことを明らかにした。
医師の中塚は、トランスジェンダーにおける身体的治療、また子どもの性別違和とセクシュアル・マイノリティについて医科学の直接関わる部分だけでなく、人的環境や支援などからも考えて行くことが必要であると指摘する。
同じく科学分野から石井は、遺伝子ドーピングに関する考察において、問題は身体への遺伝的介入の不可逆性また全身性にあるとし、社会で強制力を持つ法規制の制定が有力な選択肢と提案する。胚の段階で遺伝子に介入することによる子の権利への侵害であることにも言及している。
スポーツ分野から來田は、身体は密接に関わる身体活動であるスポーツにおいては、ジェンダーの観点からオリンピズムを読み解く。來田は、性別二分性における基準としての性が、科学的には明確な基準とはなり得ないことを明らかにした。
憲法学から土屋は、農作物種子法改正に関して生物学への法の介入とその評価という課題に取り組んでいる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ禍の影響で、対面の研究会が開催できなかったため、テーマに関して各人がそれぞれ検討しているため、当初の計画であるシンポジウムなどの研究交流と公開の企画が実現できていない。

今後の研究の推進方策

今後は、各研究者が明らかにできた成果を相互に検討しつつ、共通の課題を抽出し、各専門分野に通じる概念を構築する方向で進めていく。

次年度使用額が生じた理由

2021年度、研究会の対面開催および外国からの研究者招聘によるシンポジウム開催が不可能だったため、当該助成金が生じた。
2022年度は、各研究者の研究水耕に加え、研究会の開催、シンポジウムの開催を計画している。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (9件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 生命への介入、その法的課題(22)代理懐胎と法(2)法律によって代理懐胎を禁止するフランスの議論2022

    • 著者名/発表者名
      建石真公子
    • 雑誌名

      時の法令

      巻: 2141 ページ: 122-127

  • [雑誌論文] 生命への介入、その法的課題(20)人の胚に対する研究 : ヒト胚利用の進展の是非を誰がどのように判断できるのか2022

    • 著者名/発表者名
      建石真公子
    • 雑誌名

      時の法令

      巻: 2137 ページ: 58-63

  • [雑誌論文] 子どもの性別違和とセクシュアルマイノリティ -――総論2022

    • 著者名/発表者名
      中塚幹也
    • 雑誌名

      小児科

      巻: 63-1 ページ: 7-13

    • DOI

      10.18888/sh.0000002034

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 食料への権利に基づく主要農作物種子法廃止の問題点 : 規制緩和・撤廃立法に対する司法審査の必要性(上)2022

    • 著者名/発表者名
      土屋仁美
    • 雑誌名

      法学志林

      巻: 119-4 ページ: 1-28

  • [雑誌論文] 生命への介入、その法的課題(19)生殖医療と法における「尊厳」とは(5)二〇二一年七月二九日憲法院判決における「トランスジェニック胚・キメラ胚作成」の合憲性 : 二三条に関して 建石 真公子 時の法令 (2135) 76-81, 2021-12-152021

    • 著者名/発表者名
      建石真公子
    • 雑誌名

      時の法令

      巻: 2135 ページ: 76-81

  • [雑誌論文] 新型コロナウィルスと立憲主義 : 生命権・健康権と公益 (特集 コロナと憲法) 建石 真公子 憲法問題 (32) 91-104, 20212021

    • 著者名/発表者名
      建石真公子
    • 雑誌名

      憲法問題

      巻: 32 ページ: 91-104

  • [雑誌論文] 日本における研究目的の「ヒト胚のゲノム編集」と「ヒト胚の作成」 ─人権の観点からどう考えるか2021

    • 著者名/発表者名
      建石真公子
    • 雑誌名

      学術の動向

      巻: 25-10 ページ: 40-45

    • DOI

      10.5363/tits.25.10_40

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「トランス・ジェンダーの性別記載変更と私生活の尊重 不妊化要件と身体的完全性および性アイデンティティの権利2021

    • 著者名/発表者名
      建石真公子
    • 雑誌名

      人権判例報

      巻: 3 ページ: 45-53

  • [雑誌論文] Inclusiveであるべき五輪の今とジェンダー (オリンピック・パラリンピックの法的課題 : 延期を経てさらに見えてきた「スポーツ」と「法」の現在地) 112-124, 20212021

    • 著者名/発表者名
      來田享子
    • 雑誌名

      日本スポーツ法学会年報

      巻: 28 ページ: 112-124

  • [学会発表] “Medical Triage and Rights to Life under the COVID-19 Pandemic: The Case of Japan”,2021

    • 著者名/発表者名
      建石真公子
    • 学会等名
      International Society for Public Law’s annual Conference(Zoom):ICON Mundo,
    • 国際学会
  • [学会発表] 「COVID-19下の医療逼迫時におけるトリアージと患者の人権:イギリス、フランスおよび欧州人権機関の対応」公開シンポジウム「コロナ禍におけるトリアージの問題―世界の事例から日本を考察する」2021

    • 著者名/発表者名
      建石真公子
    • 学会等名
      日本学術会議哲学委員会いのちと心を考える分科会主催
    • 招待講演
  • [学会発表] 「新型コロナウィルス感染症と人権―医療へのアクセスにおける人権枠組に関する欧州と日本の議論-」2021

    • 著者名/発表者名
      建石真公子
    • 学会等名
      国際人権法学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 「コロナ禍における『治療』へのアクセスー尊厳・人権枠組はどのような役割を果たしうるか-」2021

    • 著者名/発表者名
      建石真公子
    • 学会等名
      日本学術会議哲学委員会
    • 招待講演
  • [学会発表] 持続可能性を追求する社会におけるスポーツの役割-IOCの動向を手がかりに-、2021

    • 著者名/発表者名
      來田享子
    • 学会等名
      第8回日本スポーツ理学療法学会学術大会
  • [図書] スポーツと遺伝子ドーピングを問う : 技術の現在から倫理的問題まで2022

    • 著者名/発表者名
      石井哲也
    • 総ページ数
      244
    • 出版者
      晃洋書房
    • ISBN
      9784771035430
  • [図書] コロナ禍とトリアージを問う2022

    • 著者名/発表者名
      土井健司、田坂さつき、加藤泰史編著(建石真公子執筆)
    • 総ページ数
      244
    • 出版者
      青弓社
    • ISBN
      978-4787235053

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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