2023年度は、ペルー4州における大規模サーベイ実験を実施し、その成果を報告する機会を得たのち、英文ジャーナルに投稿することができた。総じて期待していた通りの成果を上げることができた。 2023年4月より、ペルーのIPSOS-Apoyo社と連携をとり、コンジョイント実験のデザインを練りつつ、9月の実査開始に向けて準備を進めた。8月までにコンセプトペーパーをまとめ、複数の有識者に確認を依頼した。その上で8月下旬にペルーに渡航し、パシフィコ大学鉱業サステナビリティ研究センター(Centro de Estudios en Mineria y Sustenabilidad)にてサーベイ実験案を報告し、有益なコメントを得ることができた。それらを踏まえて8月下旬にはペルーのリマ市郊外でパイロットサーベイを行い、実験デザインが期待した効果を持つとの感触を得た。9月-10月に実査を行ったところ、調査会社の側で実験処理の一部に不具合が見つかったため、10月-11月に追加的に実査を行い、2000を超えるサンプルを得ることができた。 11月以降、調査結果を踏まえてコンセプトペーパーを論文原稿にアップグレードした上で、複数の有識者にコメントを得るとともに、2024年1月8日にはJapan Society for Quantitative Political Science (JSQPS)にて研究報告を行い、コンジョイント実験の分析を改善させた。その後、2024年1月末までにペーパーを完成させ、英文ジャーナルに投稿した。2024年4月現在、ジャーナルからの査読結果待ちである。 コンジョイントデザインを含むサーベイ実験の結果は期待した質を有しており、実験が示す結果も大変興味深いものである。日本の政府系機関および民間企業からも関心が高く、JSQPSでも社会科学研究の社会実装例として期待できるとの声があった。
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