本研究課題の目的は、既存の政府統計や、数値データでは把握することのできなかった都市の特徴について、画像データで把握することによって、都市の構造、およびその発展の理解の刷新をめざすことである。特に、1. 現在の政府統計では十分に把握することができない情報を持った高解像度データ 2. 政府統計等が十分に整備されていない歴史データを中心に分析を行うことを目的としている。
今年度は、1.については、前年度に引き続き、都市の土地利用規制について、土地利用における建物高さ規制に注目した分析を行った。具体的には画像データから把握した建物高さ推定値を用いることで建物高さ規制が地価に与える影響について推定した。得られた成果を複数の国際学会で報告し、さらにディスカッションペーパーとしてとりまとめ公表し、英文査読誌への投稿を行った。
2.については、江戸時代の土地利用状況が、現在の地価に与える影響について、江戸切絵図の電子化によって東京における江戸時代の土地利用状況について把握することで分析を行った。この成果を数多くの大学における研究会、国際学会において報告した。その中で国際学会(AREUEA)では、最優秀論文賞を授賞するなど高い評価を得た。また、そのフィードバックを受けて論文の改訂を行った。また、戦前の地図を収集し、電子化および機械学習による予備的分析を行った。
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