• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

スペクトル・グラフ理論の空間計量経済学への応用

研究課題

研究課題/領域番号 20K20759
研究機関広島大学

研究代表者

山田 宏  広島大学, 人間社会科学研究科(社), 教授 (90292078)

研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2023-03-31
キーワード空間計量経済学 / スペクトルグラフ理論 / 空間自己相関 / Gearyのc / 離散コサイン変換 / von Neumann比
研究実績の概要

本研究は,空間計量経済学に,スペクトル・グラフ理論[数学の一分野であるグラフ理論の中でもグラフ構造を反映する行列の固有値・固有ベクトルについて研究する学問分野]の知見を持ち込み,空間計量経済分析を発展させることをその目的とする。今年度は主に2つの研究で成果が得られた。(i) 空間自己相関とスペクトル・グラフ理論: Gearyのcは空間計量経済学を含む空間科学で頻繁に用いられる空間自己相関の代表的な指標である。その値が0(2)に近い時正(負)の空間自己相関があり,1に近い時空間自己相関がないと判断される。これまでどういうグラフとグラフ信号のとき,Gearyのcが0や2もしくは1に近い値になるかわかっていなかった。今回,スペクトル・グラフ理論の分野で開発されたグラフ・フーリエ変換を使って,このことを解明した。研究成果をまとめた論文は現在有力な国際学術雑誌で査読中である。(ii) 離散コサイン変換に関する研究: 1974年にAhmedらにより開発された離散コサイン変換はパス・グラフに対応するグラフ・フーリエ変換とみなすことが出来る。また,1941年にvon Neumannにより開発されたvon Neumann比はパス・グラフに対応するGearyのcと同等とみなすことが出来る。研究の過程で,1941年に発表されたvon Neumannの論文は離散コサイン変換に関するパイオニア的論文と呼ぶにふさわしい事に気付き論文にまとめた。この論文は査読ののち,IF付き国際学術雑誌であるCommunications in Statistics - Theory and Methods誌に掲載された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は,空間計量経済学に,スペクトル・グラフ理論[数学の一分野であるグラフ理論の中でもグラフ構造を反映する行列の固有値・固有ベクトルについて研究する学問分野]の知見を持ち込み,空間計量経済分析を発展させることをその目的としている。初年度,どういうグラフとグラフ信号のとき,Gearyのcが0や2もしくは1に近い値になるかをグラフ・フーリエ変換を使って調べるという研究プロジェクトに取り組み,その構造を解明することに成功した。加えて,初年度行った離散コサイン変換(パス・グラフに対応するグラフ・フーリエ変換)に関する研究で得られた研究成果は査読ののち,IF付き国際学術雑誌に掲載された。こうしたことから本研究は「おおむね順調に進展している」と判断される。

今後の研究の推進方策

本研究は,空間計量経済学に,スペクトル・グラフ理論[数学の一分野であるグラフ理論の中でもグラフ構造を反映する行列の固有値・固有ベクトルについて研究する学問分野]の知見を持ち込み,空間計量経済分析を発展させることをその目的とする。初年度,どういうグラフとグラフ信号のとき,Gearyのcが0や2もしくは1に近い値になるかをグラフ・フーリエ変換を使って調べるという研究プロジェクトに取り組み,その構造を解明することに成功した。研究成果をまとめた論文は現在有力な国際学術雑誌で査読中である。今年度は,この研究を完成させることに注力するとともに,Gearyのcと並ぶ代表的な空間自己相関の指標であるMoranのIに関する研究を進めることを計画している。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19の世界的流行に伴う渡航制限により予定していた国際学会への出張や海外研究機関訪問等を断念せざるを得なかったことが次年度使用額が生じた主な理由である。今年度,渡航制限が解除され次第,必要な海外出張を再開し研究を進めることを計画している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] A pioneering study on discrete cosine transform2020

    • 著者名/発表者名
      Yamada Hiroshi
    • 雑誌名

      Communications in Statistics - Theory and Methods

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1080/03610926.2020.1838547

    • 査読あり
  • [学会発表] Spatial Autocorrelation and Spectral Graph Theory2021

    • 著者名/発表者名
      山田宏
    • 学会等名
      SH3 Conference on Econometrics 2021
    • 国際学会
  • [学会発表] Spatial Autocorrelation and Spectral Graph Theory2021

    • 著者名/発表者名
      山田宏
    • 学会等名
      2021 Nanyang Econometrics Conference
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi