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2020 年度 実施状況報告書

計量経済学と心理統計学のコラボレーション:パネルVAR分析の視点から

研究課題

研究課題/領域番号 20K20760
研究機関広島大学

研究代表者

早川 和彦  広島大学, 人間社会科学研究科(社), 教授 (00508161)

研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2023-03-31
キーワードパネルデータ / VARモデル / バイアス修正
研究実績の概要

本研究ではパネルデータを用いたベクトル自己回帰(パネルVAR)モデルの推定を考察している。パネルVARモデルのGMM推定量を提案したHoltz-Eakin, Newey and Rosen(1988)以降、同モデルは、労働経済学やファイナンス等、様々な実証分析で用いられている。これらの実証研究では、時間方向のサンプルサイズが小さく、クロスセクション方向のサンプルサイズが大きい、伝統的なミクロパネルデータが使われている。しかしながら、近年、時間方向の大きいパネルデータに基づいた実証研究も増えてきており、既存の手法とは異なる分析手法が必要になってきている。そこで、本研究では、時間方向とクロスセクション方向のサンプルサイズが両方とも大きいパネルデータを用いたパネルVARをモデルを考察する。特に、伝統的なパネルモデルとは異なり、クロスセクションごとに異なる係数を持つパネルVARモデルを考察する。このようなモデルは計量経済学・心理統計学で用いられているが、本研究では、計量経済学の分野で提案されている平均グループ(Mean Group, MG)推定量に基づいた新しい推定量を提案する。MG推定量は、各クロスセクションの時系列データから得られた推定値を平均することで得られるが、数値実験を行ったところ、推定精度に問題があることが分かった。そこで、この問題を克服するために、ジャックナイフ法によるバイアス修正を提案した。数値実験の結果から、この方法を使うことで、推定精度が大幅に改善することが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現時点で、本研究課題のコアとなる新しい手法が、優れたパフォーマンスを持つことが確認できているため、順調に進んでいると判断した。

今後の研究の推進方策

今後の研究課題は2つある。1つは、新しく提案した、ジャックナイフ法を適用したMG推定量と、既存の分析手法のパフォーマンスの比較である。既存の手法には理論的な問題点もあることがわかっており、その点も含めて手法の比較を行う。2つ目はモデルの拡張である。現在考察しているモデルは、伝統的な個別効果のみが含まれたパネルVARモデルであるが、近年、誤差にファクター構造を仮定したパネルモデルが注目を浴びている。そこで、1つ目の課題が終わり次第、誤差にファクター構造があるパネルVARモデルの推定も考察する予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初参加を予定していた学会・研究会がすべてオンラインに変更になったため、旅費・謝金に係る支出が不要になった。
翌年度は、対面で開催される学会・研究会に積極的に参加する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Further Results on the Weak Instruments Problem of the System GMM Estimator in Dynamic Panel Data Models2020

    • 著者名/発表者名
      Hayakawa Kazuhiko、Qi Meng
    • 雑誌名

      Oxford Bulletin of Economics and Statistics

      巻: 82 ページ: 453~481

    • DOI

      10.1111/obes.12336

  • [雑誌論文] The weak-instruments problem in factor models2020

    • 著者名/発表者名
      Hayakawa Kazuhiko
    • 雑誌名

      Behaviormetrika

      巻: 47 ページ: 123~157

    • DOI

      10.1007/s41237-019-00097-1

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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