研究課題/領域番号 |
20K20767
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
尾崎 祐介 早稲田大学, 商学学術院, 准教授 (80511302)
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研究分担者 |
大倉 真人 同志社女子大学, 現代社会学部, 教授 (50346904)
川村 哲也 帝塚山大学, 経済経営学部, 講師 (20643505)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 資産形成 / フレーミング効果 / 高次選好 / 経済実験 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、老後の資産形成を阻害する心理的障壁について経済実験を通じて明らかにすることである。老後の資産形成には、高次リスク選好が関係していることが理論と実証の両方から明らかにされている。例えば、Noussair et al. (2014) は高次リスク選好と家計の金融行動の関係性について明らかにしている。昨年度は、この点に着目することで、心理的障壁の一つであるフレーミング効果と高次リスク選好を組み合わせた経済実験の検討を進めてきた。昨年度は定期的にオンラインで研究打ち合わせの機会を持ち、既存研究のレビューを行って、具体的な経済実験についての検討を重ねてきた。一方、昨年度はコロナウイルスの影響があり、研究計画に合った対面での経済実験は難しい状況になってしまった。そのため、予備的な経済実験も含めて断念せざるを得なく、既存研究のレビュー、研究の方向性に関する議論、そして、研究計画に沿った経済実験のデザインが中心となった。研究のレビューとしては、高次リスク選好に対する最近の研究、そして、リスク下の意思決定に対するフレーミング効果に関する一連の研究を中心としたレビューを進めた。そして、それらを組み合わせた形でのいくつかの経済実験について議論を進めた。また、コロナウイルスの影響が長引く可能性もあり、その場合は対面による経済実験が長期間に渡って実施できない可能性があることを念頭に置いて、オンライン実験の実施も含めて検討が進められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度はコロナウイルスの影響により、研究計画に合った対面での経済実験の実施が難しくなってしまい、その点で当初の研究計画と比較すると、「やや遅れている」という評価になった。一方、研究期間の初年度であり、当初から予備的な経済実験の実施ができれば十分であったため、その影響は軽微であった。また、初年度に既存研究のレビュー、研究計画の方向性、そして、いくつかの経済実験について議論を深めることができたのは、結果的には研究全体にとって望ましかったかもしれない。
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今後の研究の推進方策 |
経済実験のデザインについては具体的な議論が進められているが、対面型の経済実験の実施については見通しが経たない現状がある。今後の状況も予想をつけるのが難しいため、いくつかの方策を考えている。最初に、今年度の後半からは対面型の経済実験が実施できる状況になった場合に備えて、その時点ですぐに経済実験が行えるように準備を進める。二番目に、対面式の経済実験が実施できなかった場合も念頭に置いて、オンライン型の実験の準備も進める。一番目と二番目を合わせて考えると、オンライン型でも実施可能な経済実験という制約を置いて、経済実験のデザインを進めることが現実的な解である。三番目に、経済実験の前提となる理論部分の分析を進めることで、経済実験の実施が難しい場合に備えるようにする。以上のような方策を取ることで、コロナウイルスの影響により流動的な状況に対して、できる限りの対応が取れるようにしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの影響があり、当初に予定していた経済実験が実施できなかったため、次年度使用額が生じた。予定していた経済実験に使用していく予定である。
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