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2021 年度 実施状況報告書

オントロジー工学による会計上の不正仮説生成に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K20770
研究機関立命館大学

研究代表者

瀧 博  立命館大学, 経営学部, 教授 (20292138)

研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2023-03-31
キーワード不正リスク / 不正リスク仮説 / 不正シナリオ / オントロジー工学 / 知識モデル
研究実績の概要

2021年度は、引き続きオントロジー工学について研究を進めた。次の①から③を目標とした。すなわち、① 関与社員経験者の公認会計士へのインタビューを通じて具体的な監査手続の内容と意思決定・判断の構造を明らかにする。② 本学情報理工学部の來村教授と共同研究で監査実務指針に関する知識モデルの構築を目指す。③ 学生のアルバイトに監査基準(金融庁・企業会計審議会)の実施基準および日本公認会計士協会による監査基準委員会報告書(以下、監基報)の知識モデルの作成を手伝ってもらう。
①については、監査基準や監基報に記載されていない具体的な監査手続、現場の監査人の判断についてかなり明らかになった。実際、不正リスク仮説の生成を重要な虚偽表示の識別段階でブレインストーミング的に実施していること、また、財務諸表全体レベルのリスク評価に対して、全般的な対応よりも具体的な不正シナリオ等を検討していることなどが明らかになった。これらは、当局の指導や大手監査法人の取り組みの内容となっており、実務指針に現れていない。本研究では、今後の研究の方向性を決める上で重要な内容である。
②については、來村教授の指導生(学部4回生)による監査基準委員会報告書540の知識モデルの作成についてコメントを行う中で知識モデルの構築方法に関して重要な知見が得られた。今後は、このモデルをさらに発展させることを計画している。
③については、数人の学生のグループで監査基準の実施基準・報告基準および監基報の知識モデルの構築を依頼した。当初は、本研究の計画に記載の通り、監査基準委員会報告書をすべてオントロジーに落とし込む予定であったが、監基報の規定間の関係が複雑で内容が前後するため、行動モデルとして記述するのに難航し、想定外に時間がかかった。そのため、結局、監査基準の実施基準・報告基準、監基報315の知識モデルの作成に留まった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

近年のコロナ禍のため、本務校の授業準備と成績評価に非常に時間がかかり、研究時間の確保がきわめて難しい状況であった。また、人工知能を中心とするテクノロジーが会計や監査に与える影響について学界・実務界でも関心が高まっており、学会での報告や講演会の担当が求められていた。とくに、「将来なくなる職種」という蔓延する誤解を解くため、こうした報告や講演の実施は重要であり、そのために準備も含めて相当の時間を割いた。そのため、学生を対象とした実験研究にまで準備が到達していない。

今後の研究の推進方策

2022年度上半期は、監基報240、315、330の知識モデルの構築を目指す(これについては、本年度12月の会計学会関西部会で報告を予定。また、次年度の人工知能学会で報告を予定)。また、下半期においては、学生を対象とする実験研究を実施する(これについては次年度の日本監査研究学会での報告を予定)。

次年度使用額が生じた理由

近年のコロナ禍のため、研究がかなり遅れており、また、学生を対象とする実験研究まで準備が至らず、実施できていない。2022年度は学生を対象とする実験研究を実施する予定である。

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公開日: 2022-12-28  

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