研究課題/領域番号 |
20K20773
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高篠 仁奈 東北大学, 農学研究科, 准教授 (80507145)
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研究分担者 |
キーニ ミナクシ 東北大学, 農学研究科, 助教 (20868517) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | ジェンダー |
研究実績の概要 |
本研究では、萌芽段階にあるSOGI(性的指向・ジェンダーアイデンティティ)に関する人権政策・制度研究について、この分野の世界トップランナーであるオランダ、および、Xジェンダーの制度化が始まった南アジアのの研究者と連携し、国際比較分析を行う。特に、制度化がXジェンダー当事者の貧困や差別の問題の緩和、人間の安全保障の実現に貢献したのかという問題に焦点を当てた調査研究を行う。
令和2年度には、南アジアとオランダにおけるXジェンダーの制度化の経緯に関する文献の整理を行った。オランダでは医療関係から人権啓発が進み、南アジアでは文化的背景が重要であるといった点が浮かび上がっている。渡航が可能となった場合には、両国のジェンダーと人権に関する専門家やNGOなど、関連団体を対象とした予備的な調査を実施する予定であったが、新型コロナウィルスの影響により中止となったため、メールやビデオ通話を通じた意見交換を行った。また、計画の当初はオランダとインドの比較に焦点を当てる予定であったが、渡航制限が長期化する恐れがあったため、テーマを一部修正し、調査が実施しやすい国内でのSOGI問題についても文献調査を進めており、現在、オランダの共同研究者と共著論文を執筆中である。また、南アジアの調査についても、当初はインドでの調査を予定していたが、現地のNGOとの連携が可能で渡航をしなくても遠隔での調査が実施可能な対象地であるバングラデシュへの変更を現在検討中である。今後の渡航可能性を見据えながら文献調査を継続して進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
オランダおよびインド、バングラデシュの共同研究者と研究打ち合わせを行いながら文献調査を進めている。研究を進めながら渡航制限の中で実施可能、かつ重要なテーマも取り入れるなど、必要に応じた変更は行っている。しかしながら、現地調査が実施できないことが大きな課題となっており、調査研究はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、Xジェンダーの制度間比較に関する文献調査の結果をとりまとめ、学会や研究会などで報告する。状況が改善し渡航が可能となった場合には、延期しているオランダのジェンダーに関する専門家や南アジアのNGOや関連団体を対象とした予備調査を実施し、申請当初の計画通り、オランダとインドの比較に焦点を当てた分析を進める。しかし、渡航制限が長期化する場合には、テーマを一部修正し、日本国内でのSOGI問題に関する文献調査を継続し、関連団体を対象とした予備調査やウェブ調査を実施する。南アジアでの調査も、渡航可能性を考慮しながら、渡航できない場合にはバングラデシュでの遠隔調査の可能性を探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
渡航ができず、国内での学会参加や、海外での予備調査のために計上していた経費の支出を延期しているため次年度使用額が生じた。
使用計画について、渡航が可能となった場合には、国内学会参加のための旅費や、オランダと南アジアの関連団体を対象とした調査を実施するための旅費、研究補助に必要となる人件費などに使用する。渡航できない場合には、現地のNGOと連携して遠隔での調査などが実施可能な地域での委託調査費として使用する。
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