最終年度となったが、昨年度延期していたワシントンDCにある緊急事態管理庁(FEMA)および、そのニューヨーク支部に赴いて聞き取り調査を行うことができた。その結果、AFNという概念は、ニューヨークにおける障害者運動や関連する市民運動を契機に生まれ、FEMAにおいて着目されて、現在はそのトレーニングプログラムにも入れられていることがわかった。ただ、わが国への適用に関しては、現在の枠組みの中へどのように組み入れていくのがよいか、特に当事者自らが主導的に取り組めるような環境をどのように設えることができるかということについては、方略が定まらないままだったが、障害学会で発表することによって、まずは当事者を含む関係者の意見を聴く機会をもつことができた。 本研究を通して、AFNは、障害だけでなく、女性や外国人など多様なマイノリティ(小さな声)について当てはまる概念であることに気づかされたので、様々な実践現場を訪問する際にAFNを常に念頭に置いてみた。また地域防災活動に取り組む人々とも議論をしてみたところ、現在の地域防災の現場でブレイクスルーになるとの認識を得たが、AFNをいわば正面から取り上げて実践していくための理路は必ずしも定まらないままであった。そこで、研究期間終了後に、現場においてボトムアップで考えてみるという方針を立てて、研究代表者が関係している災害NPOや地域防災活動の現場において検討する場の設置を提案するにとどまった。
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