研究課題/領域番号 |
20K20777
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
樋口 直人 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (00314831)
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研究分担者 |
稲葉 奈々子 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (40302335)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 移民 / デカセギ / 日系人 / 在日外国人 / 外国人労働者 / ペルー人 |
研究実績の概要 |
2021年度は、最終年に予定されている書籍の刊行に向けて以下の作業を行った。コロナ感染対策上の理由で、ワークショップなど人が集まる形でのイベントを行えなかったため、個人個人で作業を進めることとした。 1.章の分担を決めた。大まかには以下のような形で進めていく。タカハシ=ペルー人デカセギの最初の拠点となった真岡市の歴史、アサト=事件史・人物伝、小波津=教育、オチャンテ・ロサ=宗教、オチャンテ・カルロス=音楽、稲葉=非正規移民、樋口=労働・職業移動。各人の担当に即して、研究会で毎回報告し、2022年2月には全員分の内容が出そろった。 2.書籍の形態や版元などを決めた。版元との交渉の結果、日本語とスペイン語バイリンガルの書籍は費用がかかる割には部数が伸びない、商業的に成り立たせるならば日本語で刊行し、スペイン語はオンラインで読める形の刊行にしたらどうかとすすめられた。しかし、世代を越えて一冊で読める形態の方が望ましいため、一定の買取を前提として刊行を進めることとした。翻訳についても、日系移民に関する学術書の翻訳経験があるスペイン語話者と交渉し、了承を得られている。 3.オチャンテ兄妹は真岡訪問経験がないため、タカハシがアレンジして真岡調査と研究会を実施した。同様に伊賀と沖縄調査を予定していたが、11月以降感染症拡大局面に入ったため延期し、その後も感染者数が下がらないため年度内には行わなかった。全体で集まる会を控えた代わりに、個人で一対一の対面程度の人数で行う調査は進められた。特に稲葉は、非正規滞在者に対する聞き取りを集中的に行ったため、成果の書籍でも1章を割いて取り上げることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ワークショップなどを開催し、ペルー人コミュニティからの意見聴取や素材の提供を受けることはかなわなかったが、個々人の作業によりかなりのてーどカバーできている。また、分担や原稿の内容も決めて検討を進めており、その意味で当初の目標に向けて着実に進められている。しかし、実際には対面の研究会や調査の方が作業を進める効果があり、その回数を極度に制限されたことで、2021年度中に完成原稿を集めるには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
タカハシは高齢者であり、アサトは普段は自給計算で働く工場労働者であるため、感染が健康や家計にたいして及ぼすリスクは、研究者だけからなるプロジェクトより重く見る必要がある。それゆえ、感染者数が下がらないなかで調査を行うかどうかは、通常よりも慎重に考えねばならない。最悪の場合、2022年度も調査を行わずして入稿できるよう、オンラインの研究会や相互の原稿の検討を密に行うことで対処したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査を2回分延期にした関係で、2021年度の調査旅費を2022年度に使用することとした。
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