本研究は、既存の社会調査データをAIを使用して再分析し、従来型の統計分析と比較し、それぞれの手法の特徴を探ったものである。AI分析では、データ学習の後、特定の変数を予測させたが、現在のコンピュータ処理能力ではすぐに過学習となり、かなりの精度で予測に成功しても、それをAI分析の成果と評価できない事態となった。再分析の対象としたデータは、2件の、有効回答者数それぞれ4万程度の、文化社会学分野の調査としては例外的に多数の回答を得た調査となるが、まだ全く不足であった。一方、社会統計手法に依る推計でも大差ない結果を得ることができ、従来手法は、少ない情報量から有効な「知」を得る方法であることが確認できた。
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