研究課題/領域番号 |
20K20783
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
筒井 孝子 兵庫県立大学, 経営研究科, 教授 (20300923)
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研究分担者 |
東野 定律 静岡県立大学, 経営情報学部, 教授 (60419009)
大夛賀 政昭 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (90619115)
木下 隆志 兵庫県立大学, 経営研究科, 教授 (10514606)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 地域包括ケアシステム / 生涯費用推計モデル / 在宅生活維持要件 / 生涯コスト |
研究実績の概要 |
社会保障としての介護給付には、事業者に価格決定権がなく、また、介護サービスの利用者におけるサービス購入は、その必要性からによるものとされてきた。このため、介護領域では、一般の製品・サービス等の顧客としての購買特性に着目した検討は、ほとんどない。しかし、covid-19の影響により、令和2年度の医療や介護サービス利用は低調となった。このことは、従来の介護サービス購入特性からの説明では不十分であることを示している。 本研究では、①在宅で介護サービスを利用している者の状態像及び利用サービス内容、利用するに至った経緯、家族介護の関与等のデータを分析し、②在宅生活を継続している利用者の費用を算出し、これらの費用と利用者の基本属性、要介護度、疾患等の状態像等との関連性を明らかにする。そして、③在宅生活継続に要する費用を高齢者の要介護度別に推定するモデル式を開発し、このモデル式が④居住形態及びインフォーマルなサービスとの関係によって、適用できるかを明らかにしながら、最終的には⑤在宅で要介護高齢者が生活を継続するための生涯コストの予測モデルを提示することを目的とする。 今年度は、居宅介護支援利用者約1万人の介護給付データ3年分のデータベースをつくり分析した結果、1ヵ月の介護給付の利用単位数が高い利用者は、在宅サービス利用月数が長いこと等がわかった。さらにA県の新規認定者の2年後の予後データを分析し、要介護度2の死亡率が25.8%であったのに対し、要介護度5は、45.2%と示され、要介護が高いほど死亡者の割合が高くなることがわかった。 以上の結果からは、介護サービス利用者の費用推定モデル式の開発には、サービス利用期間が重要な変数となることが示唆された。 今後は、概ね初回認定から3年程度のデータと要介護度の変化、この間の介護給付との関連性を分析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度、居宅介護支援利用者約1万人の介護給付データ3年分のデータベースを構築した。これを用いて分析した結果、1ヵ月の介護給付の利用単位数と、在宅生活の継続性との関連性が明らかにされた。また、新たにA県の新規認定者の2年後の予後データの分析から、要介護が高いほど死亡者の割合が高くなることがわかった。 以上の結果からは、新たな知見も得ることができており、概ね計画通りに順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、利用者の状態像に関するデータベースと費用のデータベースを突合し、費用規定要因を明らかにする。また概ね初回認定から3年程度のデータから、利用者の要介護度の変化が費用に与える影響を検討する。またcovid-19が、在宅サービスの利用にどのような影響を与えたかについて、ヒアリング調査を実施し、分析に必要となる臨床知見を収集する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた旅費を使用していなかったため
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