研究課題/領域番号 |
20K20785
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松田 ひとみ 筑波大学, 医学医療系, 名誉教授 (80173847)
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研究分担者 |
長内 さゆり 北海道文教大学, 人間科学部, 准教授 (80783555)
橋爪 祐美 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (40303284)
巻 直樹 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (90813642)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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キーワード | 高齢者 / ひとり暮らし / 楽しい会話 / 睡眠 / ナラティブ睡眠ケア |
研究実績の概要 |
本研究は、日本において高齢者のひとり暮らしが増加し、地域社会や家庭での孤立や孤独感の問題と共に死亡率との関連性が指摘されてきた。また抑うつや自殺に連鎖する高齢者の不眠が3割以上にも及ぶ現状に注目した。本研究では、独居の高齢者の孤独感や不眠を改善するために、回想法を用いた高齢者への「ナラティブ睡眠ケアプログラム」の効果評価法を開発することを目的とした。 今年度は地域在住の65歳以上高齢者を対象として、自記式質問紙及び計測による実態調査を行う予定であった。しかしコロナ禍の影響下にあり、高齢者の感染による危険性を踏まえて対面式の調査を実施することはできなかった。また地域内の高齢者の介護予防総合事業を行う諸施設においても、職員の協力を得られるような状態ではなかった。 以上のような事情により、研究計画を変更したが、少しでも進展させるために次の2点を実施した。①研究協力施設の管理者と連携をとり、次年度以降の調査体制を整えるために高齢者の生活、健康状態についての情報を把握した。札幌市近郊及びつくば市内では、介護予防事業として行っているディケアサービスへの参加者が減少し、外出を控える高齢者が増加していた。②研究テーマに関連する文献収集を行い、システマティックレビューを行った。検索ワードは「elderly people, sleep or insomnia, conversation or reminiscence or life review」であった。文献データベースはPubMed, CINAHL, Web of Science,医中誌を使用し、2000年から2021年の21年間の文献を対象にした。抽出文献の評価は3名の研究者で実施し、解析対象論文は5件であった。2件は介入研究であり、その効果をみるとpositiveなエピソードをもつ会話が睡眠の質を高めていると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍の影響下にあり、今年度は実態調査を行う予定であったが、高齢者の感染による危険性を踏まえて対面式の調査を実施することはできなかった。また地域内の高齢者の介護予防総合事業を行う諸施設においても、職員の協力を得られるような状態ではなかった
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今後の研究の推進方策 |
今後は、次のように研究計画を修正し、進展させていく。 ①質問紙調査により実態を把握する方法として、インターネット調査を行う。個人情報の保護規定は確認済みであり、筑波大学内での倫理審査に申請し承認を受けることができた。 ②介護予防のための総合事業を行う施設職員の協力を得て、地域内の感染状況に関する情報を入手するとともに、リモートでの面接調査を準備する。これにより高齢者や施設職員の疑問に答えながら、研究の説明と同意を受けることができる。また質問紙調査を実施することができる。 ③自律神経機能と活動量に関する計測は、直接対面することや機器の装着による感染の危険性を考慮していく必要がある。これらはワクチン接種による影響等を考慮し、国内、および地域内の感染の情勢をふまえて随時検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の実態調査は行うことができず、そのために調査費用やそれに伴う旅費、謝金、などの支出がなかった。これ以降は研究計画を修正し、インターネット調査およびリモートを使用した調査を実施していく。研究期間の延長を視野に入れて、コロナ禍であるが感染状況を確認し研究対象施設と調整しながら研究を安全に推進していく。旅費は、限定した範囲であるが、調査協力施設との打合せや面接調査のために北海道内および茨城県への移動に使用する。謝礼は、調査施設の協力者に支払う予定である。またその他の費目においては、インターネット調査費用と投稿費用として使用する。
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