研究課題/領域番号 |
20K20787
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
申 在烈 青山学院大学, 地球社会共生学部, 助教 (00847337)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | プラットホーム労働 / プラットホーム / 働き方 / 配達労働 / 独立自営業 / 労働過程 / ギグワーカー |
研究実績の概要 |
本研究の目的はギグワーカーの働き方に関する経験の収集及びカテゴリー化を行い、ギグワーカーの雇用地位を明らかにしながら、日本型雇用慣行が新しい働き方に与える影響を考察することである。本研究ではフードデリバリーサービスで働いている配達員を対象にインタビュー調査を行っている。これまでに明らかにした研究成果は以下のようになる。 第一に、コロナ過はプラットホーム労働の拡散に大きな影響を与えた。例えば、飲食業で働いた労働者が配達業に移動し、ギグワーカーとして働いている事例を複数確認できる。第二に、現時点ではフードデリバリーサービス会社の間の激しい競争が配達員の収入に肯定的な影響を与えている。配達員の配達報酬は同じサービス職の平均賃金より明らかに高い。第三に、海外諸国では労働者としての認識が強いうえ、労働組合を設立する動きがみられる。しかし、日本の配達員は本人を労働者でなく、独立自営業として認識している。特に海外では配達員の組織化(労働組合の設立)の動きが活発であるが、日本では労働組合に対して否定的な意見が大きい。第四に、30年間続いている賃金所得の低下により、配達労働の高い雇用不安定性にも関わらず、配達労働に対する良好な態度が形成されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
【後れを取った理由】新型コロナの影響で、日本におけるヒアリング調査の開始が予定より遅くなった。 【現在の調査状況】本研究で極めて重要な配達労働者に対するインタビューを終了し、他の配達労働者を対象にインタビューを進めながら、内容を拡張しているところである。 【研究政界の状況】インタビューデータに基づいて、共著の書籍を執筆している。その本は今年度中に出版することを予定している。また、インタビュー内容を利用して海外の雑誌に投稿する論文を執筆中である。執筆中の査読論文は6月頃には投稿する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
【インタビュー調査に関する方策】現在は配達労働者を中心にインタビュー調査を行っている。また、ウーバーイーツユニオンと出前館にもインタビューを行う。今のスピードであれば、今年12月頃にはある程度、最初の計画通りの研究成果を得られると考えられる。特に出前館とウーバーイーツユニオンにインタビューを要請するために、必要に応じて他の研究者と合同作業を行う予定である。
【研究政界の発表】以上のインタビュー資料を基にして、国内外の学会に発表する予定である。国内では社会政策学会の秋の大会、日本社会学会における発表を予定している。国内外ではRC28と来年度の世界社会学会で発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの影響でインタビュー調査に遅れがとりました。
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