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2022 年度 実施状況報告書

「災害報道3.0」の課題を整理するーデジタル時代のジャーナリズム再定義に向けて

研究課題

研究課題/領域番号 20K20790
研究機関武蔵大学

研究代表者

奥村 信幸  武蔵大学, 社会学部, 教授 (00411140)

研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2024-03-31
キーワードジャーナリズム / 災害報道 / ニュース / リスクコミュニケーション / テレビ / ラジオ / スマートフォン / DX
研究実績の概要

デジタル時代の災害報道の具体的なイメージを形成する作業を優先的に進めた。災害時にやりとりされる情報、ほとんど全てが「データ」の形でやりとりできるとして約100項目を抽出、ほとんどが市町村や民間レベルの情報であることを明らかにした。まとめを、社会情報学会(2022年9月 於仙台)、日本メディア学会(11月 オンライン)のワークショップ主催という形で成果発表した。
今後、地方自治体やNPOなどの情報をいかに集約するかという、規格の統一や地方のDXの問題も合わせて検討することが不可欠であると理解し、総務省や地方自治体のオープンデータ化などに取り組む武蔵大学社会学部の庄司昌彦教授にも協力を仰ぎ、上記の2ワークショップは庄司氏との共同開催という形をとった。
2学会では、テーマは共通のタイトルで提示したものの、重点を違うものとして展開した。社会情報学会では、今までのメディアが取り上げられなかった避難サバイバルに必要な情報などを、市町村や民間企業やNPOはどのような形で認識しているかという「情報のありか」や、データの規格を統一するための課題など、災害時の「情報のエコシステム」の全体を意識して考えた。
一方、日本メディア学会では、災害「報道」をになってきたテレビ、ラジオ、新聞という伝統的なメディアの災害時のジャーナリズムがどのように変容するかを中心に議論した。ラジオの重要性は不変だが、テレビや新聞は、発災から時間が経過するにつれて、ミクロなユーザーの関心をカバーできなくなるという意味で「傍観者のジャーナリズム」とも言うべきジレンマを抱える構造になっており、災害時の情報サービスと公共のリソースが公平に分配されているという権力の監視機能をどのように両立させるかを中心にフロアと意見交換を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

新型コロナの影響が残り、代表者も1回の海外出張で帰国時に感染したため、それ以上の海外調査を断念した。アメリカやイギリスの公共アラートシステムや、災害時の情報サービスと、ニュースや報道の区別をどう考えるかという調査が十分とはいえない。

今後の研究の推進方策

米ミズーリ-州コロンビア市の災害アラートシステムと、地元メディアの災害報道時の役割分担について、行政郡側と同市にキャンパスがあるミズーリ-大学コミュニケーション大学院/ジャーナリズム大学院とを調査する予定である。この調査を通じて、スマホに必要な情報が届く世の中で、新聞やテレビに与えられたジャーナリズム的な任務とは何か、改めて考察を行う予定である。
国内では、抽出したデータの項目をさらに整理し、民間からの情報の、重要な出所である地域NPOなどにも調査のウィングを拡げて、日本における災害時の健全な情報のエコシステムが機能するための課題は何かという具体的なイメージをつかむのが課題である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナの影響が残り、代表者もノルウェーの出張の帰国時、空港で感染してホテル療養を余儀なくされたなどの理由で、海外調査を断念し、学会などの成果発表に重点を置いたため。
次年度は感染状況の緩和を見越して、アメリカなど海外の調査、ジャーナリズム関連の国際会議への出席及び国内の調査及びヒアリングの謝礼などに使用する所存である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] デジタル時代の「災害報道3.0」の課題を整理する2022

    • 著者名/発表者名
      奥村信幸・庄司昌彦
    • 学会等名
      社会情報学会
  • [学会発表] デジタル時代の「災害報道3.0」の課題を整理するー災害時の報道と情報サービス2022

    • 著者名/発表者名
      奥村信幸・庄司昌彦
    • 学会等名
      日本メディア学会

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公開日: 2023-12-25  

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