研究課題/領域番号 |
20K20797
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
ゲーマン・ジェフリー ジョセフ 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (80646406)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 先住民族 / 伝統知 / アイヌ民族 / 文化伝承 / 教育 |
研究実績の概要 |
本年度はコロナウイルス感染症のため、対面での研究会活動は中止した。また、海外渡航が困難だったため、オンラインの発表以外は中止とした。一方で、3回オンライン学会に参加し、研究課題である「先住民族の伝統知」に関する発表や情報収集を積極的に行い、また3回海外の先住民研究者とオンライン研究会を行い、課題である伝統知の国際的なとらえ方に関して理解を深めた。とりわけ、アラスカ・パシフィック大学の授業「アラスカ・ネイティブ・サイエンス」に研究代表者とアイヌの研究協力者二人が出演発表し、アラスカの講師と学生たちと意見交換を行ったことは研究課題の理解促進に大いにつながった。更に、文献調査を徐々に進めた。これを具体的な成果としてあげられる。
しかし、片方で、先住民族の「伝統知」の概念が広く、その適用・応用可能性が教育学のみならず、社会福祉、子ども福祉、医療、ビジネス、自然環境管理といった多分野を幅広く横断する、学際的なものであることが少しずつ見えてきた。更に、アイヌ民族の当該者をはじめ、日本における「伝統知」の概念自体の意識はまだ希薄といわざるを得ない。教育現場をはじめ、政策・施策や現場での実践で配慮することほどには成立していない概念である。その関係で、当研究プロジェクトのアイヌメンバーの中では、概念自体に対する自覚を促すことが課題となっていることは理解できた。今後、海外の先住民研究者との交流を続けながら、海外の政策状況・概念の捉え方と日本・アイヌのそれとの齟齬をなくすことを課題として取り組む予定。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はコロナウイルス感染症のため、研究会活動は中止しました。また、海外渡航ができなかったため、予定していた学会発表も中止となった。更に、本研究プロジェクトの主要な研究手法はアイヌ民族の当該者たちとと共に課題に関する理解を確かめながら進むことであるが、コロナのためにアイヌの連携研究者との研究会をオンラインで開催せざるを得なかったため、一部のアイヌの連携研究者の欠席や遅刻が課題促進の遅れにもかなり影響を及ぼした。
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今後の研究の推進方策 |
アイヌ民族の四人の研究協力者とオンラインで研究会を進められるよう、漸く準備が完了したため、定期的な研究会を続ける予定である。以下の学会で発表及び情報収集を行う予定:1)2022 Conference of the Australian Studies Association of Japan(関西学院大学、6月18日~19日)、2)The World Indigenous Peoples' Conference on Education(Adelaide, Australiaおよびオンライン、9月26日~30日)(参加のみ)。なお、アイヌの研究協力者の意向次第ではありますが、これらの学会での発表や情報収集は海外の研究者との共同・連携研究の可能性を追及する機会であり、積極的にその可能性を追いたいと思っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は2020年度に続き、海外渡航ができなかったため、助成金の繰り越し額が予想より大きかった。 2022年度は引き続き、アイヌの研究居力者たちへの指導助言のため、謝金を支払う予定。 可能であれば、アイヌの研究協力者1~2名をWorld Indigenous Peoples' Conference on Educationに参加させるため、旅費を出したいと思っている。
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