研究課題/領域番号 |
20K20798
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
安藤 秀俊 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (70432820)
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研究分担者 |
奥寺 繁 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (20625941)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | チョウ / 理科 / 羽化制御 / フィールド調査 / 環境教育 |
研究実績の概要 |
本研究は(1)小学校の理科の実験に利用できるチョウの羽化制御法の確立,(2)そのための飼育容易なチョウの探索(フィールド調査),(3)フィールド調査の延長としてチョウの絶滅危惧種の保全に関する現地調査の3点を目的としている。特に,(1)と(2)においては,モンシロチョウの代替種を検討し,有効積算温度と発育零点をもとに,授業中の45分以内で羽化する技術の確立を目指した。 実験の結果,モンシロチョウの代替として,モンキチョウの卵期の発育零点は約9.3℃で有効積算温度は56.9,幼虫期の発育零点は12.0℃で有効積算温度は184.4となり,モンキチョウはモンシロチョウやキアゲハと発育期間に大きな差はなく,小学校の授業における教材として充分利用できると考えられた。モンキチョウはモンシロチョウと異なり幼虫期で越冬し,幼虫期が最も耐寒性に優れていると考えられ,実際の発育零点もより低い可能性が示唆され,蛹の低温によって羽化を一時的に保留させることも容易であった。しかしながら,昨年度に続き今年度もコロナウイルスの影響で,フィールドに出る機会が極めて制限されたため,供試材料の探索が十分にできず,母チョウを大量に採集することが難しかったことから実験のサンプル数が少なく,羽化制御の確立にはまだ検討を要する。また,(3)絶滅危惧種の現状把握としては,ゴイシツバメシジミ,オオウラギンヒョウモン,コヒョモンモドキなどの現地調査を行い,保全の在り方についても現状を把握することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では,保冷および加温する温度・時期・期間を検討し,チョウの各生育ステージにおける有効積算温度と発育零点を明らかにするとともに,蛹の節間の空隙の見極めとして蛹の質量に着目し,小・中学校の現場の教師が見きわめられるような客観的な基準を見いだすことで,論理的に蛹からチョウとして羽化するタイミングを予見することを目指していたが,コロナウイルスの影響で,春から夏にかけてのチョウの最盛期に実験を多く行うことができなかったことがやや遅れている理由である。また,研究目的(3)のチョウの絶滅危惧種の保全に関する調査では,予定していたヒョウモンモドキ,ウスイロヒョウモンモドキ,ツシマウラボシシジミ,アサヒナキマダラセセリなどの現地調査をすることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
モンキチョウの室内実験で得られた羽化制御方法を基に,小学校現場で授業実践し,教育的な効果を検証することができれば,最終的な目的は達成される。今後の研究の推進方策としては,学校現場への応用を目指す。また,実施できなかった絶滅危惧種の現地調査も継続して行っていく必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの影響で,出張が困難となり,研究目的(3)の絶滅危惧種の現地調査ができていない種があり,これらについては,次年度に検討する。
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