本研究の目的は、外国人児童生徒等の受け入れや支援の体制が整っていない、地方(宮城県)のごく一般的な学校に対して、専門家と外部の支援者とをつなぎ、子どもと教員を支援する体制づくり、「遠隔支援モデル」を構築することである。 研究期間は2020~2023年度の4年間で、このうち前半は新型コロナウィルスの蔓延により、学校訪問ができず、教員や子どもと直接やりとりをすることができなくなった。その反面、本研究が目指す「遠隔支援モデル」の構築には新型コロナウィルスが追い風となったと言える。 本研究の研究成果は、以下の3点である。(1)宮城県内の外国人児童生徒が在籍する学校を定期的に訪問し、子どもの日本語・教科学習の課題に対する支援の方法の検討や教員の指導における悩みの聞き取りなどを丁寧に続け、他校や他児童へのアドバイスにつなげることができた。(2)宮城県内の小・中・高校の学校教員、日本語指導を行う支援者、学校以外の場での支援者などをつなぐネットワークを構築するため、遠隔によるネットワーク座談会を立ち上げた。2021年11月から毎月1回定期的に開催し、県内の子ども支援に関する情報収集・提供を継続して行っている。(3)宮城県内の外国人児童生徒を対象とした遠隔による「オンライン教室」を地域の国際化協会と連携して、年3クール(6~7月、11~12月、3月)定期的に開催することによって、子どもと保護者、学校とのネットワークが構築できたのに加え、将来教員を目指す学生支援者の養成にもつなげている。 (1)~(3)の研究成果により、この4年間で、宮城県内の学校と子ども、支援者がつながる「遠隔支援モデル」を構築することができた。遠隔によるネットワーク座談会には、他県の参加者も増えており、このようなネットワークが求められていることも分かった。
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