研究課題/領域番号 |
20K20804
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
勝二 博亮 茨城大学, 教育学部, 教授 (30302318)
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研究分担者 |
新井 英靖 茨城大学, 教育学部, 教授 (30332547)
田原 敬 茨城大学, 教育学部, 准教授 (70735753)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 教材開発 / 特別支援教育 / 生体機能データ / 教師の力量形成 / 神経教育学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,視線追跡や脳血流計測などの生体機能を計測する機器を駆使して,通常の行動観察では捉えにくい子どもの内的過程を明らかにし,その情報を教師にフィードバックすることによる指導改善への効果について検証することにある。令和2年度に引き続き,令和3年度もコロナ禍の状況で,基礎疾患のある知的障害児を対象とした生体機能計測研究の遂行は制限せざるを得なかった。 このような現状の中,今年度においては基礎研究として,健常者24名を対象とした二肢強制選択課題遂行中の視線探索過程をアイトラッキング法にて検討した。その結果,選好側では非選好側より総注視回数が増加し,総注視時間は延長するといった特徴を明らかにした。このように選択画像の好意度の違いによって選好判断の注視行動に影響を及ぼすことを明らかにした。 さらに,知的障害特別支援学校ではコロナ禍においてICT機器を活用した遠隔授業の実施を余儀なくされたが,その際に観察された子どもの様子について知的障害特別支援学校の教員を対象とした聞き取り調査を行った。その結果,対面での授業場面とは異なり,注意が転導せずに集中して画面を見続けていたことや,それまで消極的な態度で受け身の姿勢がみられた子どもが画面越しで積極的にコミュニケーションを取ろうとする態度が形成されるなど,これまで対面授業では見られなかった行動がいくつか指摘された。このことから,ICT機器を活用することで,それまで見られなかった子どものポジティブな行動を引き出す可能性があることが示唆された。 その他,ASD事例を対象に学校生活場面を参与観察し,同時に唾液アミラーゼによるストレス評価ならびに睡眠時間測定を実施した過去のデータを取りまとめた。その結果,教師との関わりの中で学校生活で見通しをもてるようになると,発語量の増加やストレスの軽減及び睡眠時間の延長を引き起こすことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染症による影響で,基礎疾患のある知的障害児を対象とした実験研究の遂行が困難であった。そのために,当初予定していたアイトラッキング装置の導入については,次年度に移行することとし,今年度については調査研究や健常者を対象とする基礎研究に着手した。コロナの影響ではあったが,当初予定していなかった調査研究に着手した点については,計画通りではなかったものの,新たな知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ感染症の終息については,未だ見通しがもてないものの,感染症対策を施しながら,知的障害児を対象とした生体機能計測に関わる研究には着手可能となると考えている。次年度は,調査によって明らかとなった遠隔授業時における子どもの行動変容に関して,アイトラッキング法などを用いた実証研究を実施し,教員へのフィードバックを行いたいと考えている。また,感染状況によっては,対応策の一つとして研究期間の延長もありうると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルス感染症による影響のために,知的障害児を対象とした実験研究に着手することが難しかったことによる。予定していた物品機器の購入についても,実際に使用する年度で導入したほうが機器の保証期間なども考慮すると望ましいと考えた。 翌年度においては実施できなかった実験研究に着手する予定である。なお,期間内に終了することが難しいと判断した際には,研究期間の延長も考えている。
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