研究課題/領域番号 |
20K20805
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
米田 宏樹 筑波大学, 人間系, 准教授 (50292462)
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研究分担者 |
野呂 文行 筑波大学, 人間系, 教授 (30272149)
岡崎 慎治 筑波大学, 人間系, 准教授 (40334023)
三盃 亜美 筑波大学, 人間系, 助教 (60730281)
熊谷 恵子 筑波大学, 人間系, 教授 (10272147)
宮本 昌子 筑波大学, 人間系, 教授 (70412327)
柘植 雅義 筑波大学, 人間系, 教授 (20271497)
小島 道生 筑波大学, 人間系, 准教授 (50362827)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 特別支援教育担当教員研修システム / オンライン研修 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き①講義研修と②「個別の指導計画」の作成・修正を主としたOJT研修の2つからなる通級及び特別支援学級担当教員研修を行った。受講生は,A教育委員会から推薦された小学校16名,中学校5名,高校2名の計23名であった。今年度は昨年度の受講生18名(昨年度所属:小学校13名,中学校3名,高校2名)が主に②のOJT研修の相談・助言にかかわるメンターとして加わった。 講義研修では,理念・制度・アセスメント・指導法に関する10の講義動画及び資料が準備され,Driveにより配信・配布された。事後アンケートで受講生があげた「講義研修で解決できなかった疑問等」の内容は,参加者によるリアルタイム・オンライン座談会・情報交換会を設定し,具体例やアイディアを出し合って問題解決のヒントをつかめるようにすること等講義以外の方法で解決を図るような事項であると考えられた。 OJT研修では,各受講生1名の担当事例について,「個別の指導計画」の検討を行った。主としてクラスルームのストリーム機能を用いた文字・文章による事例検討であったが,2事例のみ試行的にzoomによるリアルタイム検討会も行った。事例検討の記述内容を質的に分析した結果,「メンター」や「受講生同士」は「関連事例の情報共有」や「関連教材教具」についての情報提供者として機能しやすいこと,大学教員の専門的な助言によって参加者間で共有された「情報」に意味付けがなされ,共有された情報の積極的な活用が試みられる傾向がうかがえた。リアルタイム事例検討では,対象児の指導経過や関連情報が把握しやすく,対象児の実態に応じて必要となる支援をステップ化し具体的に検討することができ,好評だった。ただし,事後アンケートでは,自分の事例をオンラインで検討したいと回答した者は半数に満たず,事例提供のストレス軽減が課題であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オンライン研修を主にして探索的に研修実施方法を検討した結果,オンデマンド講義研修とオンライン事例検討の組み合わせによる研修が有用であることが示唆できてきている。昨年度の受講生をメンターとして研修に組み込むことで,教員相互の相談・支援体制を作る可能性も示唆された。 今後は,基礎的な内容の講義研修と,そこで得られた知識・スキルを活用しながら受講生やメンターの多種多様な経験知を駆使して検討できるOJT事例検討研修,さらに,その他のオンライン交流の機会の確保によって,より効果的な研修参加者集団の形成と研修内容・方法を検討していく必要があるという最終年度の課題・研究の方向性も見出されていることから上記評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
1.講義研修の成果と課題からの研究推進方策 講義研修の講義内容は現在提供しているもので十分であり,受講生の疑問や解決したい課題は,講義そのものでの解消は難しいと考えられることから,補足資料の充実と受講生自身の探索的情報検索の促しを検討するとともにオンライン面談やオンライン座談会でのフォローを検討する。 2.オンラインOJT研修の成果と課題からの研究推進方策 文字・文章での事例検討のやり取りは有効であると感じる参加者が多いことから,より整理しやすい事例ごとに使用できる掲示板等,別のツールの活用も検討する。また,リアルタイム・オンライン事例検討はより具体的な現状把握に基づく指導助言が得られることから,受講者の負担感に配慮した方法を模索したい。さらに,事例検討会以外の気軽なオンライン・サロン(交流の場)の提供方法も考慮したい。 なお,研修全体のあり方として,勤務時間中の研修時間確保に必要な仕組みの検討も必要であると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により対面による研修を実施せずオンラインのみの研修としたこと,各学校・教育委員会との打ち合わせについてもオンライン会議としたことから,旅費や演習のための教材費等を中心に次年度使用額が生じた。 オンライン・オンデマンドならびにリアルタイム・オンラインによる研修・会議の実施の有効性も確認できていることから,次年度も対面による研修と会議は最小限にとどめる。その分,OJT研修で話題になったアセスメントツールや指導教材・支援機器などのうち各学校で試用に供する物品の準備が難しいものをプロジェクトで購入し受講生への貸出を行い,それらの物品を活用した指導・支援方法について,オンラインOJT研修で実践・討議する形で,研修システムの充実を図りたい。
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