研究課題/領域番号 |
20K20815
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
両角 亜希子 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (50376589)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 事務組織 / 大学経営 / 業務改善 / アンケート調査 / 大学職員 / DX / 組織編制 / 国際部門 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、大学の事務組織やそこでの業務がどのように改革され、効果を上げているのか、上げていないのであれば、何がボトルネックになっているのかを明らかにし、大学経営の高度化に寄与する知見を導出することである。初年度は、大きく3つの課題に取り組んだ。 第一は、事務職員調査で、大学職員の業務はどのように変化したのか、どのような大学、部署で、どのような変化が起きているのかを、常勤の事務職員に対するアンケート調査を実施した。2010年に実施した「全国大学職員調査」と比較可能な設問項目に加えて、新たな変数を追加した調査票を作成し、2021年2月に1544大学の本部・学部4632名の職員対象に実施し、1983名から回答を得た(42.8%)。現在、この調査データを分析し、次年度以降に研究成果として発表していく。 第二は、事務局長等へのインタビュー調査で、事務組織や業務分掌の改革がどのような考えで、どのように実施されており、どのような効果と課題があるのかを、事務組織の責任者である事務局長に対する調査から把握する。初年度は国立大学を中心として8件のインタビューを実施した。学内の業務分担・組織編制(大括り化、横ぐしなど)の変更、DX化の推進などの大学内での業務改革にとどまらず、業務の外注化や外部人材の活用、他大学との共同事務化等による効率化の可能性、また国立大学の事務局長・理事分担のあり方なども調査した。順次、研究発表をしていく準備を進めている。 第三は、仕事の内容やその割り振り、組織編制がどのように変わってきたのかを具体事例に基づく検討であり、大学の国際部門・業務を対象として研究会を重ねて、いくつかの大学の事例の検討を行い、仮説を生成してきた。次年度にインタビュー調査を実施予定で準備している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
コロナ禍にもかかわらず、第2回全国大学職員調査を高い回収率で成功させた。研究協力者である大学院生、大学院修了生50名ほどが本科研に参加してくれたことの影響が大きいが、そうしたネットワークを生かして、またオンラインを活用して、当初の予定を上回る多くの調査対象へのインタビュー調査を実施できているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後も3つの研究課題を継続・発展させていく予定である。 第一の職員調査については、回収した調査データの分析に取り組んでおり、順次、研究成果を発表していく。今後の職員像、人事制度・評価、人事異動、職員のモチベーションややりがい、働き方、キャリアパス、学びの意欲、学長リーダーシップとの関わり、コロナ禍の影響、人事交流の効果、組織学習などの観点から分析を深めていく。次年度中に報告書を作成して一定の成果を発表する予定である。 第二の、事務局長・事務局調査については、国立に加えて、公立や私立へのインタビュー調査を継続して行い、最終年度の事務局長調査の設計に向けて準備をするとともに明らかになった知見を順次、発表していく。 第三の、国際部門の事例について調査を進めるとともに、寄附部門、経営企画部門、事務の共同化や外注化の事例について調査を進める予定である。
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