本研究では、大学の事務組織やそこでの業務がどのように改革され、効果を上げているのか、上げていないのであれば、何がボトルネックになっているのかを明らかにし、大学経営の高度化に寄与する知見を導出することを目的に研究を行ってきた。 大きく、3つの観点から研究を行ってきた。第一は、2021年2月に質問紙調査「第2回全国大学職員調査」を実施し、2010年との比較から、大きく経営環境が変化したにもかかわらず、職員の行動や意識に期待された変化が起きていないことを明らかにした。また、その原因として人事制度のみならず業務や組織の在り方があることを指摘したことである。この成果は『大学論叢』をはじめとする媒体や口頭で発表した。第二は、国際部門という特定の業務に着目し、どのような課題が生じ、仕事の編成や割り振り、組織体制がどのように変化し、成果や課題に直面しているのかを事例調査から検討したことである。国立、私立1校ずつの事例分析を行い、研究論文として発表した。第三は、事務局長調査の実施である。インタビュー調査から事務局長から見た事務組織・業務の特性や課題を明らかにし、その知見の一部を論文をまとめた。またインタビュー調査から仮説を生成したうえで、2023年2月に「全国大学事務局長調査」を実施した。事務組織・業務改革の実態については、全国的な調査もほとんどなかったが、その実態を明らかにした点に第一義的な意味がある。現在はこの分析・取りまとめを行い、成果を発表していく段階にある。
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