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2023 年度 実施状況報告書

「輪」になる活動が持つ教育的意義の解明:国際比較と文化論の視点からの再考

研究課題

研究課題/領域番号 20K20819
研究機関文教大学

研究代表者

藤森 裕治  文教大学, 教育学部, 教授 (00313817)

研究分担者 白川 佳子  共立女子大学, 家政学部, 教授 (20259716)
研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2025-03-31
キーワード輪になる活動 / 国際比較 / 文化論
研究実績の概要

本研究は、以下の問いを明らかにすることを目的としている。すなわち、1) 輪になるという物理的形態を伴う教育活動が本質的にもつ意味と意義は何か?2) 輪になるという文化事象にはどのような意味があり,人々をいかなる状態に導くのか?3) 輪になる教育活動と各国の文化的な特質にはどのような関連性があるのか?である。この目的を遂行するために、2023年度における当該科研の最も中心的な課題は、これまでの研究成果を総括し、広く国内外に発信することであった。
この課題に向けて、研究代表者の藤森と分担者の白川は、研究協力者として都内の私立保育園であるC保育園に依頼し、同園をフィールドとして長期継続研究を実施した。研究テーマは、輪になる活動の典型として実践されているサークル・タイム活動において、経験未熟なクラスの担任と園児たちが約1年間でどのように変容するかというもので、一部統計的な分析を含む探索的研究として、所属機関における研究倫理審査を経て行われた。
この研究成果を2022年度の調査研究と統合し、挑戦的研究(萌芽)の助成をいただいた当該研究の到達点として"How Should We Use Circle-Time Activities?:Exploring Methodologies for a Smooth Transition from ECEC to CSE"と題する調査報告レポートにまとめた。
これをもとに、2023年9月にポルトガルで開催されたヨーロッパ幼児教育学会での口頭発表を初め、国内での学会発表、招待講演、著書・論文等において研究成果が発信された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2020年度から2021年度にかけては、新型コロナ感染症の影響等があって教育実践場面を対象としての臨床研究を行うことができず、国際学会等でも発表・情報収集に支障を来していた。
幸い、2022年度になって研究分担者の白川がかかわっているC保育園における長期の参与観察研究が可能となり、同園の職員・副園長の研究協力を得ることもできて、当該課題の臨床研究を推進する環境を得ることができた。以後、ヨーロッパ幼児教育学会を初めとする国内外の学会等において研究発表を行うとともに、学術論文としても世に示すことができた。
特筆しておきたいのは、本科研にて得られた知見をもとに、NHK教育テレビ高校講座「現代の国語」において、研究代表者の藤森が監修講師となり、「輪」になって語り合う学習活動を行ったことである。その意義と効果がテレビ番組として広く公開されたことは大きな成果と考える。
課題として残されたのは、サークルタイムに代表される国外の教育実践場面での活動について、当初予定していた渡航調査が十分にできなかった点である。ただし、この問題については、当該科研の助成をいただく前に収集されていた過去14年間の調査記録から抽出された「輪になる活動」を一次資料として分析することによって対応している。新型コロナ感染症の影響が収まった現在の状況についての調査研究に充当できる予算はないので、次期科学研究費の助成を仰ぎたい。

今後の研究の推進方策

現在までの進捗状況欄にも記述したが、国外の教育実践場面において「輪になる活動」に関する最新の調査研究が今後の課題となる。幸い、当該科研の助成を受ける前に、ハンガリー、イギリス、アメリカ等の幼児及び初等教育実践場面における現地調査データが膨大な資料としてあったので、これらを解析することで国際比較研究が進められた。
今後の研究の推進方策としては、以下の点が挙げられる。
①渡航調査の追加:すでに受給している当該科研の助成金では充当できないので、所属大学等の研究予算によって補填しつつ最新の国外データを収集する。
②著書・論文・学会発表等での発信:当該科研の研究成果を、さらに広く普及させる。
③「輪になる活動」の実践開発:すでに研究協力を受諾してくださっているC保育園に加え、近隣の初等教育機関、及び中等教育機関にも研究協力校を見出し、実践開発と臨床研究を行う。

次年度使用額が生じた理由

1.資料整理・処分のための実務作業にかかる経費:これまでに収集されたデータ、資料は基本的に助成期間終了とともに融解等によって処分する予定なので、その実務作業にかかる経費に充当する。
2.研究成果の発信にかかる協力謝金:紙媒体による発信ではなく、ホームページ上での電子的な研究成果公開を行う。これにかかる協力謝金を計上する。
3.その他消耗品等:本研究にかかる文具などの消耗品で必要なものを購入する。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 母親と保育者の乳幼児に対する身体接触についての研究 :身体接触の種類と情動場面に着目して2024

    • 著者名/発表者名
      白川佳子
    • 雑誌名

      共立女子大学家政学部紀要

      巻: 70 ページ: 37-48

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 国語科における「見方・考え方」の概念規定2023

    • 著者名/発表者名
      藤森裕治
    • 雑誌名

      文教大学教育学部紀要

      巻: 57 ページ: 201-209

    • DOI

      10.15034/0002000104

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 楽しさは苦しさとともにある2023

    • 著者名/発表者名
      藤森裕治
    • 雑誌名

      中学校国語科教育相談室

      巻: 96 ページ: 10-11

  • [雑誌論文] 読書と人生2023

    • 著者名/発表者名
      藤森裕治
    • 雑誌名

      月刊国語教育研究

      巻: 609 ページ: 2-3

  • [学会発表] 言語能力と情報活用能力にかかる5つの問い2024

    • 著者名/発表者名
      藤森裕治
    • 学会等名
      第10回「今後の教育課程、学校外での子供の多様な学びに関する有識者会議」(文部科学省)
    • 招待講演
  • [学会発表] How Should We Use Circle-Time Activities?:Exploring Methodologies for a Smooth Transition from ECEC to CSE2023

    • 著者名/発表者名
      Fujimori, Y.,Shirakawa, Y. & Mogami, H.
    • 学会等名
      The 32nd EECERA Conference(Individual Presentation )in Lisbon, Portugal.
    • 国際学会
  • [学会発表] ともにある学び:子どもとともに学ぶ教師の身体を考える2023

    • 著者名/発表者名
      藤森裕治
    • 学会等名
      埼玉県国語教育夏季研修大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 子どもとともに在る教師の身体を考える:「言葉の学び」への自覚が育つ学室2023

    • 著者名/発表者名
      藤森裕治
    • 学会等名
      第86回国語教育全国大会(日本国語教育学会)
    • 招待講演
  • [学会発表] コロナ禍における 大学発「地域子育て支援」の果たす役割Ⅲ ―コロナ禍3年間の子育て支援力養成の成果―2023

    • 著者名/発表者名
      柳瀬洋美・小原敏郎・白川佳子・吉永早苗
    • 学会等名
      日本保育学会第76回大会
  • [学会発表] 乳幼児の子育て意識に関する縦断調査(3)―コロナ禍における子育て意識の変化―2023

    • 著者名/発表者名
      白川佳子・中村大輝・福丸由佳・河合高鋭
    • 学会等名
      日本乳幼児教育・保育者養成学会第4回大会
  • [図書] 発達と教育2024

    • 著者名/発表者名
      藤森裕治(編著) 他17名
    • 総ページ数
      234
    • 出版者
      北樹出版
    • ISBN
      978-4-7793-0744-7
  • [図書] これからの国語科教育はどうあるべきか2024

    • 著者名/発表者名
      藤森裕治(編著) 他55名
    • 総ページ数
      233
    • 出版者
      東洋館出版社
    • ISBN
      978-4491053837

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公開日: 2024-12-25  

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