本研究では、ベトナム、ラオス、カンボジアの3カ国を事例に質の高い幼児教育の提供に必須の教育施設(ハードインフラ)と教員(ソフトインフラ)に焦点を当て、定量的・定性的手法の両方を用いた現状分析を実施し、就学前教育施設及び教員の適切な供給・配置に向けた課題を明らかにすることを目的とした。最終年度である2022年度は、事例各国での現地調査を実施した。幼児教育・保育を提供する就学前教育施設や勤務する教員、子供を施設に送っている親・保護者を対象としたインタビュー調査を行い、そこから得られた定量的・定性的1次データの分析を行った。この際、これまでの先行研究や政策関連文書、報告書等のレビューを通して明らかになった多様なアクターが運営する施設が調査対象となるよう標本抽出を行った。また、家計調査データや政府の関係省庁が公表している幼児教育・保育の施設数・在籍者数、教員数等に関する2次データの分析結果を活用し、幼児教育・保育へのアクセスが確保できていない地域や、民族・宗教等によって周縁化されたグループに属する子供が通う施設、そこで勤務する教員、その親・保護者が調査対象となるよう標本抽出を行った。更に、2次データを用いた定量的分析、現地調査で収集した1次データの定量的・定性的分析結果に基づいた新たな理論枠組み・評価指標の開発、事例各国の政策決定者に対して政策提言を行った。また、事例三ヵ国を担当している世界銀行とユネスコの教育専門家にも研究成果を共有した。
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