研究課題/領域番号 |
20K20840
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研究機関 | 常磐大学 |
研究代表者 |
大高 泉 常磐大学, 人間科学部, 教授 (70176907)
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研究分担者 |
石崎 友規 常磐大学, 人間科学部, 准教授 (60747020)
柿澤 敏文 筑波大学, 人間系, 教授 (80211837)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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キーワード | 視覚障害生徒 / 理科授業 / 視覚特別支援学校 |
研究実績の概要 |
本研究は2つの柱からなっている。第一に、世界的に最も進んでいるといわれている日本の視覚障害生徒に対する理科授業の実践(教師の言語的説明と独自の教材との関連等々)を分析し、その理科教授・学習ストラテジーを理論化・系統化すること。第二に、その成果を踏まえ、視覚情報偏重と見なされる健常生徒対象の一般の理科授業を革新する知見を提供することである。 研究代表者の大髙泉は、日本視覚障害理科教育研究会と第17回視覚障害教育研究協議会にはじめて参加し、視覚障害生徒の教育・授業・制度・改革動向とともに、視覚障害生徒の理科授業・教材等について情報を収集した。 研究分担者の柿澤敏文は、2020年7月に、全国視覚特別支援学校67校に在籍する幼児児童生徒に対して質問紙調査を実施し、全校より、2,481人(全国盲学校長会R2.5.1調査による全在籍者2,502名の99.2%)の回答を得た。2015年調査結果と比較して普通文字使用者の割合が減少、併用者の割合が増加、点字使用の割合は大きな変化が認められなかったこと、視覚補助具使用者は在籍者の6割を占め増加傾向にあったことを明らかにした。 研究分担者の石﨑友規は、視覚障害生徒への理科授業実践に関する先行研究を収集し、研究動向を分析した。特に、Ediyanto and Kawai(2019)により、2009年から2018年の間の視覚障害生徒の科学学習の研究動向を探った。 研究協力者の鳥山由子、武井洋子、柴田直人は、視覚障害教育における理科教育の授業実践を行った。視覚障害のある生徒自身が観察や実験を通して理解を深められるよう、授業で活用する教材を自作したり、指導法を改良したりした。また、その教材や指導法、日々の授業実践は、『視覚障害教育ブックレット』や『JASEB NEWS LETTER』(2020年7月発行)に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第一に、コロナ禍の影響で、挑戦的研究(萌芽)の採択の決定、予算執行が大幅に遅れ、研究活動も十分展開できなかったためである。 第二に、コロナ禍のため、筑波大学附属視覚特別支援学校の理科授業を実際に参観することができなかったためである。ただし、当附属の教員である研究協力者である武井洋子、柴田直人は本研究課題に関する研究を精力的に推進した。 第三に、コロナ禍のため、関連学会はいずれもリモート開催で、関連情報の収集、研究協議が十分展開できなかったためである。
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今後の研究の推進方策 |
筑波大学附属視覚特別支援学校に所属している研究協力者は、視覚障害生徒に対する理科授業を実践し、各種の教材等を開発を進めているので、その分析、理論化を進める予定である。 先ずは、本研究課題の第一目的に従い、世界的に最も進んでいるといわれている日本の視覚障害生徒に対する理科授業の実践(教師の言語的説明と独自の教材との関連等々)を分析し、視覚情報を遮断されている視覚障害生徒を対象にした固有で優れた理科教授・学習ストラテジーを理論化・系統化すること、関連情報・文献を精力的に収集することを早急に進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で、本科研費の採択が判明したのが昨年8月過ぎであり、さらに補助金の執行が可能になったのが昨年10月過ぎであった。そのため補助金執行の期間がほぼ半年であったこと、また、コロナ禍の影響で、関連学会の全国大会及び研究会等の開催がいずれもオンライン開催であったため、予定していた学会参加・発表等に必要な旅費を執行できなかったことが主たる理由である。
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