研究課題/領域番号 |
20K20841
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研究機関 | 東京国際大学 |
研究代表者 |
助川 泰彦 東京国際大学, 教育研究推進機構, 教授 (70241560)
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研究分担者 |
松崎 真日 福岡大学, 人文学部, 教授 (30709621)
黄 美蘭 帝京平成大学, 人文社会学部, 助教 (30747126)
磯野 英治 名古屋商科大学, 国際学部, 教授 (50720083)
吹原 豊 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (60434403)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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キーワード | 特定技能 / 文化変容仮説 / 心理的距離 / 社会的距離 / 日本語習得 / コミュニティ / JOPT / 定量的調査 |
研究実績の概要 |
2024年3月に開催された『日本語教育方法研究会』において研究発表を行った。 「特定技能外国人の日本語習得と生活実態についての予備的調査」 助川泰彦(東京国際大学)、吹原豊(福岡女子大学)、松﨑真日(福岡大学)、磯野英治(名古屋商科大学)、黄 美蘭(帝京平成大学) 本発表では、コロナ禍で大幅に実効が遅れた中で、2023年度中に東京都と埼玉県で実施した特定技能外国人に対する日本語能力の測定と日常生活についての質的調査(調査協力者の母語によるインタビュー)の結果から得たデータの考察を発表したものである。 合計で8名の外国人労働者のうち、母国の大学の日本語学科で優秀な成績を修めていた1名を例外として、他の7名は日本語能力の獲得が極めて遅い速度で進行していることが明らかになった。同時に、日本人との交流、ネットワーキングも進んでいないことが分かった。このことは、ジョン・シューマンの「文化変容仮説」(または、「ピジン化仮説」)の予測した事態と合致しており、今後の調査の方向づけに大きな示唆を与える結果であった。日本人社会への心理的距離と社会的距離が日本語習得にどれだけのインパクトを与えるかという視点を持ち、さらに多角的にこの研究テーマに沿って研究調査を進めていく出発点を2023年の時点で得ることができた。定量的調査には近年開発されたJOPTが有効であることが分かり、今後とも利用して特定技能外国人の日本語能力定量化に利用していく方針が定まった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2005年以来継続して続けている外国人労働者の日本語習得の調査の中で、経験的にファーストコンタクトを対面で実施することの必要性が明らかになっている中で、本研究計画の開始年度がコロナ禍の爆発的拡散が起きたために調査の実施が大幅に遅れた。 在日インドネシア人コミュニティとのラポールは代表者の助川と分担者の吹原が継続的に維持してはいたものの、行動制限により、調査の実施が事実上3年近く不可能であり、その間は文献調査と古くから対日している日系インドネシア人とのリモート調査の実施に制限されていた。 2023年度後半になって、対面調査が可能になったため速やかに調査協力者を募って調査を実施したものの、2023年度内に1度の研究発表を行うに留まらざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
コロナウイルスの5類への移行が実現し、対面調査が自由になった2024年度現在、可及的速やかに大量の調査の実施を急いでいる。2023年度に実施し、得られた結果を元に、2024年度はインドネシア人の特徴であるFBなどの普及率の高いSNSを活用して調査範囲を広げ、目標としては3桁に近い人数の調査協力者を得て大量の信頼性の高いデータを収集して、特定技能外国人の日本語習得の実態、あるいは日本語習得が進まないでいる実態を明らかにすると同時に、その理由・原因を解明していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査計画開始年度がコロナ禍爆発的拡大の時期と重なってしまったために、調査の実施ができなかったため。
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