神戸大学附属幼稚園3名,神戸市内の公立幼稚園1名の教師を対象に,机上シミュレーション法により,保育活動中の教師の動線及びそれに伴う思考内容についての調査を行った。また,机上シミュレーションを行った保育について,実際の保育をビデオ収録し,その後インタビュー調査を行った。昨年に加えて,教師への質問として,子どもの学習評価という観点を加えた。遊びをベースとした保育活動において,教師はどのように子どもが認知能力や非認知能力を学んでいるかを評価しているか,そのための教師はどのように動いているか,が中心である。 対象とした保育は,いわゆる自由保育であり,対象園児は4歳児及び5歳児であった。また対象としたすべて教師の教職年数は1人を除いて10年以上であった。 教師の動きとして,園児それぞれが遊びに入ることができるような全体をコントールするための動線と,遊びが始まった後にそれぞれの遊びのグループに必要と考えられるサポートを行うタイミングでの動きが,保育設計段階では考えられていることが示唆された。また,1つの遊びグループに対して,その遊びの展開をチェックするために教師は移動しているようであった。教職経験10年未満の教師についても同様ではあるが,実際の保育においては,1つのグループにかかわる時間が長くなり,保育計画とは異なり,子どもの遊びに教師の動線が影響されることが伺えた。今後は更なる詳細な分析を行う必要がある。
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